第4話 種植え完了

 クワを手にした俺は、土を耕していく。


 クワを振りかぶって、土に振り下すと、クワが当たった場所から半径1m圏内にある土が、濃い茶色に変色する。

 これで耕されたということになる。

 この辺も、現実になる前と一緒だな。


 同じくクワを振り下して、耕していく。


 十一回土を耕した。

 カブの種は十個最初に貰い、それと謎の種を一個ゲットしたから、計十一個種を埋める。


 埋め終えたら、ジョウロを持ち、種に水を撒く。

 全部で十一回分の水は、最初は入っていないので、近くにあるため池に水をつぎに行く。

 水をついだら、十一個の種に全て撒き終わった。

 謎の種はどうなるか分からんけど、カブは三日で育ち切る。

 カブは安いけど10個あれば、そこそこ金になる。


 金は、現実と同じで大事だ。

 なければ何もできないからな。

 農業は序盤の金稼ぎとしては、そこそこ効率は良い。


 農業以外にも、釣りや、功績集め、モンスターを倒しての素材集め、ダンジョンで宝を見つける、などが主な金稼ぎの方法だな。


 あー、疲れた。

 俺は地面に仰向けに寝転がって、空を見上げる。


 ゲームでは感じることのない労働の疲れだな。

 ただ現実の仕事での疲れよりは、心地がいい疲れに感じる。体は疲れているが、心はむしろ晴れやかだというか。


 グー。


 腹がなった。

 空腹もゲームでは感じないが、現実となった今は感じる。


 何か食べないとな。


 確か初期の持ち物として、台所にパンがいくつか置いてあったはずだ。

 誰が置いたのか不明だが、なぜかあるのだ。


 それを食べるか。


 俺は家の中に入り、台所に行く。

 食パンが十枚置いてある。

 2枚食べた。

 味付けがないため物足りないが、今は金がないので我慢だ。

 初期の所持金として三百ゴールド持っているのだが、これはなるべく取っておきたいため、美味いもの食べるのに使用するわけにはいかない。


 ずっとこの味気ない食事するのは嫌なので、たまには町に行っていいものを食べた方がいいだろう。


 パンを食べたあと時間を確認する。


 十三時か。


 疲れたから少し休むか。


 俺はベットに寝転がる。


 そういえば、このステータスとか確認できるのだろうか。


 ゲームなら「ステータス」と言えば、ステータス画面が開いていた。


 そこで、スキルレベルや筋力や敏捷性などの自身のステータスを確認することが出来てた。

 インベントリも開けたし、ステータスも開けるかもしれない。

 そう思い、


「ステータス」


 と言った。

 すると、目の前に画面が表示される。

 ゲームと同じステータス画面だ。


 Lv 1

 HP(体力)  150/150

 SP(スタミナ)50/150

 MP(魔力)  50/50

 STR(筋力)  13

 VIT(頑丈さ) 10

 DEX(器用さ) 11

 INT(賢さ)  10

 AGI(素早さ) 10

 LUK (幸運) 10


 今のステータスはこうなっている。

 初期スキルは全部10なのだが、STRが3、DEXが1上がっている。


 これは整地をした時、オノやハンマーを使用した影響だろう。

 ステータスはレベルが上がる時以外にも、こうして農作業などをした時でも、上がる。


 最初だからこの程度の作業量でも上がったのであって、数値が上がれば上がるほど、簡単には上がらなくなるけどな。


 次にスキルを確認してみる。

 ファンタジー・ファームには大量のスキルがある。


 戦闘系、生産系、魔法系、音楽系、錬金術系、忍術系など数えればキリがないほどのスキルがある。


 まだ最初なので、だいたいのスキルが1だが、木を伐りやすくなる【伐採】スキルが2に、石を砕きやすくなる【採掘】スキルも2に上がっている。

 ほかにも、農作業の効率が上がる【農業】スキルや、草を刈りやすくなる【草刈り】スキルが2に上がっている。


 これらのスキル生産系スキルに属する。それぞれ道具を使う事で上げることが出来る。

 最大で99まで上がり、これも最初はすぐ上がるが、数値が高くなると上がりにくくなる。


 スキルを確認した後、ベッドで一時間ほど休憩を取る。

 ゲームでは時間の流れが現実より早かったが、今は現実になっているので遅くなっている。

 ゲーム内時間の一時間は、現実の五分くらいだったからな。早く一日が過ぎていったものだ。


 さて、疲れもある程度取れたし、何かやるか。

 少し怖いけど、町の外に出てダンジョンに行ってみるか。


 金を稼ぐにはダンジョンが一番だ。ダンジョン内にある宝や鉱石を取ってそれを売れば、大きな稼ぎになる。

 さらにモンスターのテイムもしたい。


 味方になったモンスターは、非常に心強い存在だ。戦闘を一緒にしてくれるほか、荷物を持ってくれたり、仕事を手伝ってくれたりする。騎乗用にできたり、一日一回、売れるものを生産するモンスターも存在する。


 テイムの魔法はすでに覚えた。あとは、『モンスターのエサ』が必要だ。それをモンスターにあげると、好感度が上がり、テイムが可能になる。


 初期ではモンスター小屋が一軒立っており、四匹までモンスターをテイムして飼育することが出来る。


 それ以上増やしたいなら、モンスター小屋を増やさないといけない。

 増やすためには多額の金と、石や木材などの建築素材を用意する必要がある。


 よし、ダンジョンに行くと決めたら、早く準備するか。

 初期のままで行くのは当然危険なので、装備を揃える必要がある。さらにモンスターのエサも買わないといけないな。


 初期からある金は、ここで全部使っておこう。

 何、ダンジョンに行けば、三百ゴールドなど、速攻で貯まるだろう。


 俺は自宅を出て、ダンジョンに行く準備をするため、町へと向かった。



 

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