5.進出 より

【現地警察の装備】


○対物狙撃銃(対物ライフル)

 ・かつては対戦車ライフルとも呼ばれた銃種。

 ・多少の装甲はものともせず貫通するが、戦車の正面装甲まで撃ち抜けるわけではない。現実には覗き窓や履帯(『キャタピラ』は商標)などの弱点をピン・ポイントで狙い撃つため、狙撃銃としての特性が生きる。

 ・その長射程・大威力を活かして、遮蔽物越しの状況や長距離での狙撃に用いられる。


○OSV-96:ロシアで開発された対物狙撃銃。精度を要求する狙撃銃としては傍流のセミ・オートマティック装弾式(単発のみ)。しかし狙いを定めたまま次弾が素早く装填できるため、短い間隔で続けて撃てる特長を備える。



【メカニズム解説】


○MV-22Bオスプレイのエンジン

 ・方式はターボシャフト(タービンの一種)。エンジン中心を貫通して配置した中心回転軸(シャフト)を、内蔵の回転翼で駆動する。

 ・エンジン前方から空気を取り入れ(エア・インテイク)、〝圧縮〟〝燃焼〟〝排気〟の各工程を経て駆動力を得る。

 ・〝圧縮〟工程では、「燃焼に必要な酸素を」「広さの限られた燃焼室へ」「〝圧縮〟して押し込む」ことを目的とする。逆に〝圧縮〟力が落ちると燃焼室で酸素不足による不完全燃焼が生じ、出力が低下してしまう。回転翼と静止整流翼を交互に配置し、エンジン後方へ向かって圧力をかける〝軸流式〟を採用。このエネルギィは、〝燃焼〟工程で駆動力とともに取り出す(後述)。

 ・〝燃焼〟工程では高圧(高温でもある)に圧縮された空気に燃料を噴射し、高密度・爆発的な燃焼を発生させる。この時、爆圧はエンジン後方へ逃げようとして、高速な気流を生み出す。

 ・〝排気〟工程では、燃焼後の高速・高圧ガスをエンジン後方へ排出する。これを駆動翼で受け止めることで、回転エネルギィを駆動力として取り出す。〝圧縮〟工程のエネルギィもここから取り出す。

 ・構造上、エンジン前方から飛び込んでくる異物に弱い。これは主として〝圧縮〟工程の翼が破損して充分な酸素密度を得られなくなるためで、この現象の結果としてエンジン出力の低下を招く。

 ・【考察】上記の理由により、エンジンは容易には爆発しない。大部分の事故では失火して出力低下、被害を抑えるため人為的に停止する場合が多いと考えられる。火災が起きるのは、燃料洩れ(および気化)と延焼被害が重なった場合が想定される。

 ただしエンジン内部の回転翼は高速回転によって高い遠心力と運動エネルギィを持っており、破損時に生じた破片はエンジン内部を跳ね回って連鎖的な被害を生じる恐れがある。これで燃料配管を破損すれば火災事故にも繋がるため、楽観はできない。

 ・【考察】オスプレイは、片翼のエンジンが停止(片肺)しても両翼のロータを駆動できる。これは主翼内に動力伝達軸を仕込んであるため。ただし推進力の低下は否めず、単純計算では垂直離陸に支障が出そうではある。

 エンジンの定格出力は4586kW、緊急時最大出力は5093kW(定格の約10%増)。

 これに対し、空虚重量は15032kg、垂直離陸時最大重量は23859kg。

 片肺時の垂直離陸最大重量は『単純計算で11929kg』、これでは空虚重量を支えられない。緊急出力は約10%増しだが、それでも13122kgと、空虚重量に及ばない。

 以上の単純計算から、完全片肺での垂直離陸は困難であろうと考えられる。


○エンジン関連用語

 ・ラジエータ:エンジンから熱を運んできた冷却水を冷ますための冷却装置(熱交換器)。走行時の外気を受けるよう、車体最前部のグリル(吸気口)直後に配置されるのが一般的。ここが破損すると循環ポンプの圧で冷却水が噴き出し、そのままでは冷却水不足でエンジンが過熱して緊急停止する。

 ・タイミング・ベルト:ピストン・エンジンの点火や吸気・排気など、タイミングをエンジン全体で厳密に同期させるためのベルト。エンジン前方(ラジエータの直後)に配置するのが一般的。これが切れると、吸排気機構の駆動力が失われてエンジンは動かなくなる。

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