「い」ない世界(原文)

「・・・・・・忘れた」


顔に違和感を感じた。撫でくり回すと、マスクをつけていなかった。

足早に家に戻る。走ればまだ間に合う時間、玄関の靴を脱がなくても取れる場所に常備してある箱から一枚取り出して走って向かう。


「おはよう」


靴箱の前で声をかけられた。


冬が好きだ。長袖を着ても不自然じゃないから。マスクをしても風邪の予防と言えるから。


「・・・・・・お、おはよう」


勇気を振り絞って言葉を発したが、その頃には既にその子は他の子と楽しげに話していた。


私は必要のない存在なのかもしれない。いなくても誰も気づかない、心配しない。

他人に嫌われるのが怖くて自分の全てを隠す。顔に素肌、果ては性格までも。


未だに忘れることが出来ない、昔ランドセルを背負った同級生に言われた言葉。


「そんなキモイ目でこっち見てくんなって」


顔の造形が整っていないことは分かっていたけれど、ここまではっきり言われたのは初めてだった。

その日から他人からの目が気になりすぎてまともに人の顔が見れなくなり、友達はどんどん離れていった。


◆ ◆ ◆


こんにちは。都稀乃 泪です。今回は上記の文章を「い」を使わずに書き換えてみました。違和感はありましたでしょうか?ご意見をお聞かせくだされば幸いです。

日本語で一番使われているのは「い」らしく、使わないで書き換えるのはかなり難しかったです・・・・・・。

皆様も語彙力アップに是非試してみてください!


今回難しかったのは「言う」と「キモイ」でした・・・・・・。

「言う」はどうしても沢山使ってしまいがちですし、「言い放つ」などの「い」を使う言い換えしか知らなかったので苦戦しました。ちなみに「く」はチートしました・・・・・・。

ちなみに「キモイ」に関しては使わなくても伝わるかと思って削らせて頂きました。こちらもチートさせて頂いたんですが、どうしても「醜い」などの「い」を使うものしか見つからず唯一いけそうだった「醜穢」はしゅうわ「い」と読むらしくアウトでした。

良い言い換えがあれば教えていただけると有難いです!

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