最終日(中編) 決心②

「いや?歴史にもそういうのって結構あるし。俺はあんまり気にしないかな」


 その言葉にすごく救われた。異性愛者ヘテロの中にもそういう考えの人もいるんだと少し前向きになれた。


「ありがとう。ちょっと、やらなきゃいけないことを思い出した」


 そう言って私は駆け出した。きっとまだ相談室にいるはずだ。旧校舎に向かう途中で鍵を持った那智に遭遇した。


「ごめん、今ちょっといい?」


 最初の覚悟が決まっているうちに勢いで言ってしまえばよかったとすぐに後悔した。こうして覚悟を決めたつもりでも、想像とは違ってなかなか話を切り出せなかった。那智も気を使って沈黙にならないようにしてくれているし、私は私で話をそらしてしまい、中々本題に入れない。しかし、タイムリミットは迫っていた。十七時からは全員参加の後夜祭が始まる。

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