6日目(後編) 情報交換(ノロケ会)in通話②

 その声を聞いただけで、自分の失言を後悔した。


「諦めるのは勝手だけど“人を好きになる”って恵まれてることなんだよ?“好きになれない”ことで悩んでる人もいるんだから、そんな滅多なこと口にするものじゃないよ?」


 丁寧な口調だったけれど、電話越しに伝わってくる怒気に身体が竦む。謝らなければいけない、そう分かっているはずなの恐怖で言葉にもならない声が漏れ出るだけだった。

「ごめん、今日はもう切るね」


 ルカがそう言って、通話は切れた。今更思い出しても仕方がないのだが、ルカを育ててくれた祖母ばあがアセクシャルだという噂を聞いたことがある。どれだけ大事に思っているか、この間聞いたというのに・・・・・・。


 どうして、こう上手くいかないんだろう。

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