5日目? こんなの知らない①

 少し後悔し始めていたが、SNSで話したことがあるだけの人間にいきなり相談を持ちかけられて更に会おうと言われたら流石に抵抗もあるだろうし、慎重にもなるだろう。

 一日以内なら送信取消が使えるからと、少し放置していた。結局返信が返ってくるまでに半日ほどが経過していた。


【うん。いいよ】


 それだけの素っ気ない返信だった。その後日付や集合場所、当日の予定なんかを決めた。


 あっという間に月日は経ち、とうとうベニバラとのオフ会の日がやってきた。


 私たちが待ち合わせをしたオブジェの前に目をやると、一人の若い男が立っていた。事前に確認していた通り、鞄に黒いキャップをつけている。ベニバラはもう着いていると言っていたので、あの人で間違いないだろう。声をかけようと回り込んだその時、その男と目が合い、その顔が相談室で幾度となく見た顔だと気づく。

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