最終日(後編) 後夜祭の花火②

「ごめん。やっぱり私、さやかのこと、恋愛対象として見れない」


「そっか、そうだよね。大丈夫、気にしないで。これからもとしてよろしくね」


 自分が涙を流さないことに対して一番驚いていた。

 しばらくして、後夜祭が終わって那智と別れて一人になった時、涙が溢れてきた。その時ですら自分はこんなに本気だったのかと驚いていた。視界がぼやけて上手く見えない。道の端に寄って声を押し殺して泣いた。こんなに泣くのはいつぶりだろうか。嗚咽がひどくて、息がうまく吸えない。

 一頻ひとしきり泣いたあと、教室へ向かおうと立ち上がると、立ちくらみがして上手く歩くことができなかった。一周回って、もう何もかもが面白くて普段はあまり笑わない方なのにそんな些細なことですら声を出して笑ってしまった。

 しかし、いくら笑っても心にぽっかり空いた穴が埋まることは無かった。

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