3日目前半 春隣③

 様子がおかしいことに気づかれてしまったかと思い、肩を震わせた。


「・・・・・・なんかついてる?」


「あー・・・・・・最後現文だったからさ」


 バレないことにホッとしているはずなのに、少し残念がっている自分に気づく。


「また授業中寝てたの?」


 呆れたように那智が言い、負けじと私も言い返す。


「那智みたいに絵を描いてるよりは有意義です~」


「いやいや、起きてるだけ私の方がマシでしょ」


 また言い争いになりかけたところで、那智の携帯が鳴った。


「ごめん、先輩来たみたいだから帰るわ。・・・・・・また後でね」


「うん。またね」


 私は普段通りに見えただろうか。そんな不安が頭をよぎる。

 夢が自分の視点じゃなくて本当によかった。第三者の視点でなければ、きっと、話すことすらままならなかっただろうから。

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