第10話
「……」
「あーあー」
「くっ!まだか…!まだなのかっ!」
(あのさぁ…)
現在2回目の夏休みが終わろうとしている頃のこと、今日はもうちょっと遠くまで飛んでみたいなぁ、などと今日の計画を練っているときに一通の電話が入ってきた。
父が愛美のおしめをささっと取り換え終えその電話にでる。
なんとなく気になったので、優人はその電話の内容を聞き取ってみることにした。
『そろそろお子さんが生まれそうなので病院のほうへ来てください』
「はい!すぐそちらに向かいます!」
「マジで!?」
「あー?」
と父は向こう側との会話をとっとと終わらせて優人と愛美をひっ掴んで病院へすっ飛んで行き、今に至る。
(去年生まれたばっかじゃんか…、早すぎませんか?お盛んですねぇ、どんだけだよ…)
愛美が生まれ無事退院した母は、もともと子供は二人くらいでいいと考えていたのだが、二人目を生んで気が変わったらしくもう一人産もう、と父親に訴えかけ、せっせと子作りに励んでいった。
退院してさして間を開けずに母の妊娠が発覚し、あわただしい日々が続いたが、それもようやく終わりを告げそうだと、優人は一人溜息をした。
「まだか…、まだなのかッ!」
(さっきからそればっかだな)
父がそのようにうわごとめいたことを言い続けていること2時間ほどでようやく生まれたと告げられ、愛美のときと同じかそれ以上の速さで父親がすっ飛んで行き、看護師たちに囲まれているわが子と母に向かって言葉を投げかけていた。
優人はというと、何とも言えない表情で愛美を抱きかかえながら、自らの従僕たちに向かって小言を言っていた。
「若いっていいなぁ~……、それにしても、やっぱり早すぎる」
「……」(汗)
「モグー!」
「ホー…」
あたらしく生まれてきた子は
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