第7話 一緒に気持ちよく

「やったーー!!」


「おわったーーーー!!!!」


 締め切り倒したよーーーー!!



 んー……、ほんとに疲れたー。


 肩とかバキバキ。


「助けてくれてありがとね!」


 2人だったから、ホントに楽しかったかも。

 

「ん? わっ! もう、夜の3時超えてる! 全然気付かなかった……」


 ふたりきりの空間に浸っちゃってた……。


「ごめんね。あたしが雇い主だから、時間とかきっちり見なきゃダメなのに……」


 ほんとに反省しなきゃね……。


 彼氏彼女じゃなくて、仕事の関係だもんね。


 ……いまはまだ、だけど。


「えっと、そしたら、さきにお風呂に入ってくれる? あっ、そっか、着替え、着替え……」


 来て欲しい服を選びたいけど、攻めすぎはダメだよね。


「え? なんでお風呂にって言われても。夜だから?」


 寝る前にお風呂に入るよね?


 男の人って違うのかな?

 そんなことないよね?


「ん? んーっと? 今日はこのまま泊まってくでしょ?」


「え? 誰がどこにって、キミがここに」


 なんの確認??


「えっと。そんなにビックリしなくてもよくない?」


「普通に帰る? なんで!? それは絶対にダメ! こんな時間に帰ったら危ないよ!」


 だって、夜中の3時だよ!?


 不審者とか、オバケとか出るから!


「えっと、あんたがなにを気にしてるのかしんないけど。あたしたち、一緒にえっちな漫画を描き上げた仲だよね?」


 戦友だと思ってたのってあたしだけ?


「ん? 寝るところ?」


 あっ、そっか。


 ……えっと、それは、


「ベット、ひとつしかないけど。さっきも一緒に寝てたし……?」


 すっごく危なかったけど、今度は大丈夫だから。

 ……たぶん。


「ごめんね。もう一回、耳貸して貰っていい?」


 肩に手を伸ばして、つま先立ちになって。


 耳元に近づいて……。



『あたしに恥をかかせないでよ……。今夜は一緒に寝よう?』



『……ん。先にベットで待ってるから』




 スーハー、スーハー……。


 よかった。


 あたし、すっごくいい仕事したかも。



「えっと、着替えだったよね」


「んー、……あれ? どこにしまったかな」


 ガサガサ。ごそごそ。


 こっちはえっちなパンツでしょ? こっちは可愛いブラだからー。


 絶対に似合うと思って買っておいた男物のパンツ、どこに仕舞ったかな?


「ここでもないし……。あっ、あった、あった」


 よかったー。すっと妄想だけはしてたんだけど。


 今日はこれを履いた状態で……、ゴクリ。


「あっ、えっと、はいこれ。使っていいからね」


 って言うか、これでお願いします!


「ん? なんでもってるのか? ……えっと! これはあれ! えっちな漫画の資料用に買ってたやつ!!」


「へっ、へんな勘違いしちゃだめだから!」


 そっか。普通は不審がるよね。


 えっちな漫画家やってて、ホントによかった。


「それと、ごめんなんだけど。あたしって、寝るとき下着派なんだよね。だから、パジャマとか持ってなくて」


「可愛いワンピースとかなら貸せるんだけど。下着で寝るのと、どっちがいい?」


 サイズ的に着れるかな? って心配はあるけどね。


 あたしとしては、下着だけの方が……、


「だっ、大丈夫! あんたが下着だけでも、あたしは気にしないから!」


 むしろ、全部なし……、


 う、ううん。なんでもない!!


(ん? あれ? ワンピースも逆にあり……?)


 意外と似合いそうな気もするよね?


「可愛い男の姿のキミに縛られて、無理やり……」


 ……ゴクリ。


 もしかしてなんだけど、ありよりのありなんじゃない!?


 ちょっと待って! これはあれ!

 もうちょっと脳内で吟味して――


「ん? 女性用の服はダメ? ……うん、わかった」


 そっか。


 ……そうだよね。


 ダメだよね。


「それじゃあ、……パンツだけだね」


 でも、やっぱりそっちでもいいかも。


 ……ごくり。


「いっ、一応言っとくけど、服のまま寝るのはダメだからね!? うちはそういう法律だから! うん!」


 あたしが家主だもん!


 ここはあたしの王国だから!


「あっ、それと、いま着てる服はそのまま洗濯機ね! 乾燥機もあるから、帰るまでには乾くし!」


 ……たぶん。


「いっ、いま着てる下着も、一緒に洗濯機でいいからね……」


 乾かなかったら、乾いたあと、学校で渡せばいいからね。


 ……ちょっとだけ返すの遅くなるかもだけど。

 何日か、持って行くの忘れるかもだけど。


「そっ、それじゃあ、お風呂行ってきて。あたしのことは気にせず、ゆっくりリラックスしてきていいからね」



 覗くのって犯罪?


 今後のために、デッサンするとか。



 ……いい、よね?


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