「泳ぐ」という動詞の再発見


「泳ぐ」という動詞を使ったことはあるだろうか?

EVA(船外活動)のことでも、もちろん性的な意味でもなく、我々が業務的な専門用語として使っている

“水中または水面において推進力を得る行為”という意味でだ。


古代において、我々の生活圏に水分が十二分にあったころはこの動詞が一般動詞であったという(これほど特殊な活用をする語が“一般”動詞とは俄かには信じられないが……。)


「水は怖い。」

曲がりなりにもプロとしてはこう言わざるを得ない。

低重力下では気道に張り付き、いとも容易く呼吸と命を奪う。

ひとたび飛散したならば、電気を必要とする機器に致命的なダメージを与える。

普段の水分、栄養分、ミネラル、その他の管理されている食事と違って水は何の栄養もないので水ばっかり摂取していると栄養不足でいずれ死んでしまう。


どのくらい危険かというと、適性のある者たちが特殊な訓練を受けて作業している水路清掃でも何年かに一度は事故が起きているほどである。


余談ではあるが、昔、親に何故一年は365日かと聞いたが、

「昔からそう決まっているから」

という答えしか返ってこなかった。




さて、いよいよ明日は先祖返りと適正選抜を兼ねたイベントである。

もちろん、水アレルギーの人は断っても問題ないが、我々河川事業部は適正あるあなたを待っている。

入部の暁にはこれ以上ないほどの名誉が約束されるだろう。

必ず面接はするのでどんどん応募してほしい。


そう、もし仮にだが水に触れることを「楽しい」と感じたあなたはきっと適性があるのだから。




明日は「川開きの日」飛散する水に十分気をつけて行動されるよう。



河川事業部コラムより

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