第2話 どうやら俺は?

 俺はあの後てっきりケルベルもどきのルルさんのお食事になるのかと思いきや、ルルさんが少女に何かを訴えたようで、食事になるのは避けられた様だ。


 今俺は少女の家に居る。


 恐らく少女の母親だろうか、いや確か叔母さんと言っていたな、恰幅のいい女性にケルベルさんが怒られてるのを俺は見ている。


 これは現実なのだろうか?


 人間が恐ろしい外見をしているケルベルさんをガミガミと叱っている、ケルベルさんの二つの頭が項垂れて叱られてるんですけど、夢でもみてるのかな?寧ろ夢でお願いしたい。


「ところで君は迷子なのかなー?」


 少女に話しかけられるが、さっき餌と見られていた俺にとって心中穏やかではない…が、助かったのだからセーフ。


「きゅーん?」


 取り敢えず餌にならないよう精一杯可愛く?首をコテンとして分からない振りをしておく。


「メグ?あんたも居候なんだからルルみたいにほいほい動物を拾って来るんじゃないよ?」


 え?ケルベルさんもどき、もとい、ルルさん拾われたんですか?この少女が拾ったんかい、よく拾おうと思ったなおい。


「ごめんなさい、叔母さん、ルルがこの子拾って欲しかったみたいだったから…」


 しゅんと可愛らしく落ち込み風でまさかのルルさんに押し付け?


「まあ犬位だったらいいけどね?その子あんまり大きくなるようなら捨てる覚悟しておきな、ルルも大きくなったし家だってあんまり余裕があるわけじゃないんだからね?」


 なぬ?俺は犬なのか、てっきりルルさんみたいな動物になってるかと思ってたわ。


「はーい、でもこの子捨てられたのか迷子なのか分からないの、こんなに可愛いわんちゃんご近所でも見た事ないんだけど叔母さん知らない?」


 ほぅ、俺ってば、可愛いわんこなのか?ルルさん見てると自信が全くないんだが?


「さぁねぇ、ここらで犬飼ってる家聞かないけどね?取り敢えず飼い主が出てくるまでは置いといてもいいけど、世話はあんたがちゃんとするんだよ?」


 よし、しばらくは安泰な生活が送れそうで何より、まだこの世界観が分からんからな。


 だが、俺は犬って言ってたけど果たしてどんな犬なんだろう?本当にただの犬なのか?今のところ不明だ、少女の両手に乗るくらいのサイズだ、いざ成長してみたらルルさんみたいになってたらどうするよ?俺ケルベル的な生き方出来るか不安だ、姿を確認したいが鏡らしきものが部屋の中に見当たらない、鏡が作れる様な世界じゃないのかもしれない。


「じゃあ飼い主さん見つかるまで不便だから名前つけようか?何がいいかな?」


 出来ればカッコいいのがいいです。


「メグ、その前に店の開店準備だよ!」


 ああ、家を見た感じ食堂っぽかったな。


「はい!今いきます!」


 この子コキ使われてるのかな?そんな処は嫌だな、少女がコキ使われる様子とかあまり見たくはないもんだ。


「そういやメグ、先月は忙しかったろ?給金は多目にしておくからね、くれぐれも無駄使いするんじゃないよ?」


「わー!ありがとう叔母さん!」


 どうやら杞憂の様だ、良かった。

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