第3話 彼女の思うまま

俺は、既視感に襲われた。以前、このような感じになった気がしなくもないのだ。いつだったか小学生の頃、インフルエンザが流行り人数が少なく掃除班も少なかった。丁度、代わりに来たのが好きな子だったのだ。俺は、突拍子もなく起こった現状に受け入れることが出来なかったのを覚えている。そして、その子にも同じことを言われた。

それと、似ていたのだ。 だが、同じ目に遭うことはしたくない。あの時、俺は好きな女子に告白をして振られたのだ。理由は、性格が捻くれているからだと。勘違いをしていたのだ。俺に対する優しさも耳にかける仕草も俺に向けてではなかったのだ。彼女自身に向けて行っていたのだ。彼女は俺に何かを要求していたのだ。

「葉月君!」

と、急に声を上げて呼ばれたので驚いた。

「ごめん……。ちょっと言い過ぎた。」

これは俺が見たことのない映像だ。

「私は、葉月君に変わって欲しいの。」

金縛りが解けた感じがした。

「え?」

「だから、変わって欲しいの。」

彼女は謎のことを言う。

「変わってって何を……。」

「性格を。」

俺はあの時の放課後、「変わって欲しい」なんて言われなかった。しかし、今回は違かった。しっかり、彼女から要求されたのだ。

彼女の思い通りに俺は動かされていた。

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