スカルファイトデュラハン構築用スカウター五点セット

「みなさまおはようございます。異世界テレパシーショッピングのお時間がやってまいりました。ご紹介いたしますのは私、ナナ=ビンテージです。私ごとで恐縮ですが、ファンレター、イラスト、ありがとうございます!」


「え、そんなん来てんの?」


「頂きました。イラストは、ちょっとアダルティすぎてお見せできませんが、ちゃんと額縁に入れて飾らせて頂いてます」


「僕は? 僕には?」


「クーヘン君、今日の商品は君にぴったりな商品なんだ」


「ファンレターは?」


「クーヘン君、君はカードゲームが趣味だったよね?」


「違うよ人生だよ。無くなったらなにもかも無くなっちゃう大事なものだよ」


「そんなクーヘン君に! そんなあなたに! 今回ご紹介いたします商品は全く新しい対戦ゲーム! デッキ構築型対戦ゲーム! スカルファイトのご紹介です!」


「え? デッキって、これ?」


「まずはルール説明からえーー、間違い無いようにカンペ読ませて頂きますね。それで、最初にまずこちらのスカウターと呼ばれる武器、斧、鉈、鎌、鋸、ニッパーの五つの内から一つを選んで下さい」


「じゃあ僕は鋸で」


「私はニッパーで、それでですね。まずデッキ構築のため、これで首を集めてきます」


「首?」


「えーー、そのための生贄がこちら」


「うっわー! ボンテージがいっぱいだー!」


「はい。本当は時間制限があるのですが、今回は練習ということで。どれか一つ選んで下さい」


「じゃあこの女子大生ぐらいでおっぱい大きな娘で」


「ならないの私は、このネタ枠のマッチョおじさんで」


「それで?」


「首を落として下さい」


「切り落とすの?」


「そうです。正確には殺して頭蓋骨を奪うのですが、肉や皮はそのままでも大丈夫です」


「ほーん。スリーブみたいなものか。それじゃ」


 ギャー!


「私も」


 ギャー!


「できたよ」


「はい。これでそこそこ広い場所へ持って移動してですね。これでバトル開始です。まずは首に切り落としたスカウターを押し当てて下さい」


「こう? おぉ光ってる」


「そこからコール! スカルファイトセット!」


「スカルファイトセット!」


「デュラハン! ゴー!」


「デュラハン! ゴー! あ、出た! ボンテージだー! で首がない!」


「そうなんです。こうして殺した首から霊体を召喚し、戦わせるリアルファイト、これがスカルファイトなのです!」


「よーし行けー!」


「負けるな! 見てください派手なバトル! 首の生前を再現したデュラハンを戦わせ、先に相手のデュラハン全てを倒し切ったら勝利です。当然武器によって能力に差が出ます。えーー、斧が身体能力、鉈が知能や魔力多く残り、鎌が生前の装備の再現率と量が増えて、鋸がリミッターが解除され、ニッパーが支配率の強化でこれはデュラハンは必ずしも命令通り動くとは限りませんので、その分の強化ですね」


「あ! あ! リョナ! リョナ!」


「デュラハンは完全に生き絶えるところまで行かないと消滅しません。ここからの一発逆転ありえます」


「あーー負けてやんの。雑魚が」


「はいそうなんです。デュラハンは首の、頭蓋骨の良し悪しで能力も上下します。より強い生き物の頭蓋骨ならばより強いアバターが出せるのです」


「え! 動物もいけるの?」


「行けます! 犬豚猫海豚、さらには天使にドラゴン、首をこのスカウターで切り落とせば何でもデュラハンできます。ただし強い個体ほど命令違反しやすいので、ニッパーを使うのがおススメですが、能力強化で一発逆転を狙うのも戦略です」


「これってその場で切り落としたのだけなの?」


「それはルールによります。一日という時間制限の中で首を集めてくる『ワンデイ』や事前に集めた中から七つを選んで戦わせる『ワンウィーク』そして全部を出しての総力戦の『ワンヒストリー』の三つが公式ですね」


「これは、すごいことになりそうだね」


「そうなんです! 既に世界大会の開催も決定しております!」


「そうなんだ! 急いで首集めないと!」


「ここでワンポイントアドバイス、デュラハンは実体を持っていまして、だけどもそれだけではデュラハン同士でしか戦えませんが、ニッパーを用いた場合のみ、まだ生きている生物を取り押さえろと命令できます」


「えー! それって!」


「そうです! デュラハンでデュラハンを増やすのです! 切り落とす手間はかかりますが、数は手っ取り早いです。当然、スカウターは狙いに合わせて切り替える必要もありますが、雑にニッパーで物量狙うのも手です」


「ウィニーだね」


「さーそんなスカルファイト! 構築用スカウター五点セットでのお届け! 詳しいルールを知りたい方は専用動画を随時上げていく予定なのでそちらも是非」


「えー、聞いてないよ」


「あ、あっちはヤスダ君が」


「は? あんな戦略も何もない、ロマンと言っておけば何やっても許されると思ってる雑魚以下の糞が、動画? それは販促はなくて反則だよ。僕がやるよ」


「あーー、じゃあ、動画をかけてのスペシャルマッチ、近日公開予定です! お楽しみに!」

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