第41話

子供たちを探しに行ったらサニーちゃんも他の子も昨日のまま無事だった。本当によかった!

でも肝心のブランはあおいさんが来てすぐに他の人を盾にされて逃げられてしまったらしい。


私が子供たちを助けて騒ぎを聞きつけた兵士に引き渡している間に、あおいさんは調べることがあると空き家の調査に行った。

一見何もないようにみえたけど、魔法で調べると隠し金庫に金や、誘拐組織とブランが関わっているという証拠の書類がたくさん見つかった。

そして書類をみてみるとブランが誘拐組織を使って子供を誘拐させて、お母さんのツテで隣国に奴隷を流していたみたい。


「でもあおいさん、なんで私がここにいるってわかったんですか?」


「元々王都で兄と会った時に奴隷を連れているのが気になって、あの後また王都に行って調べてたんだ。

そこから兄が闇奴隷の販売で金を集めているのを知って、ミラで子供の誘拐が頻発しているのを知った。

そしてミラに戻って誘拐について調べていたらローブを着た女の魔法使いが行方不明の娘を探しに行ったきり戻ってこないという女性に知り合った。

そこからはこのネックレスを使って居場所を特定したというわけだ。」


そういえば!

私がエスティエーリルについて知ったから、監視のネックレスをあおいさんにつけられたんだった!


「毎日つけっぱなしだったから、ネックレスのこと忘れてました!」


「そうだろうと思ったよ。

それで現場についてみどりを探していると絨毯でぐるぐる巻にされているのを見つけたってわけだ。」


恥ずかしい!

サニーちゃんを助けに来たのに逆に捕まって、魔法も使えなくされて奴隷にされるところだったなんて!


「子供を助けようという気持ちはわかるが相談してくれ。

心配する。」


「・・・ごめんなさい。」





そのまま後処理はあおいさんに任せて私はアーシスに帰ってきた。

私は明日からまた仕事もあるし、あおいさんもあおいさんで自分の家から犯人が出たわけだから忙しいみたい。

とりあえずはお父さんに知らせて対処を考えると言っていた。






「はぁ。」


あれから1週間、あおいさんからは連絡がない。


まだ忙しいのかなぁ。


「みどりちゃん、ため息なんかついてどうしたの?」


光ちゃんだ。

裏表ない性格で付き合いやすくて、あれから結構仲良くしてる。


「うーん、ちょっとね。」


「ひょっとしてあのイケメン!?

恋煩い!?」


「ちがっ、違うよ!

ただ連絡がないからどうしたのかな?と思っただけ!!」


恋煩い!!?

違う違う!心配なだけ、だと思う。


「それが恋煩いなんじゃん!!

好きだから気になるんでしょ!?」


えっ!?

そうなの!?

違うよね!?

それに、あんな顔面国宝級イケメンを私が好きだなんて、申し訳なさすぎる!!


“好きだよね?”


うわぁぁぁー!

全っ然仕事に集中できない!!


挙動不審で周りに不思議がられているのにも気づかないくらい考え込んでいた。





「はぁ。全然集中出来なくてこんな時間になっちゃった。」


もう21時。

最近は花守さんに仕事を押し付けられることもなくなったからこんなに遅くなるのは久しぶりだ。


ピロン。


!?

あおいさんからだ!


“何日か休みが取れないか?

今回の事件でまた王都に行く必要がある。”


今までずっと働きっぱなしだったから有給が有り余っている。


“すぐお休みとります!”


こうしてみどりの2回目の王都行きが決まった。




「久しぶりだな。」


はぅあ!

久しぶりに見ると顔面国宝級イケメンのキラキラオーラがすごい。動悸が激しい。

このドキドキは久しぶりにとんでもないイケメンを見たからだわ!と自分を落ち着かせる。


「何をやっている。行くぞ。」


王都へ馬を走らせながら今回の話を聞いたけど、やっぱり大変なことになっているみたい。

公爵家の跡取りと夫人が捕まったってことだからね。

お父さんと話したけど簡単に収まる話じゃないらしく、王様にも知らせて判断をしてもらわないといけないみたい。


「みどりも私の弟子で、犯人のアジトを見つけた張本人だからな。

今回の関係者として呼ばれている。」


え!?

それって王様と会うってこと!?


「そう心配するな。

この国の王は話のわかる良い王だ。

父とは幼馴染で親しいし、私も何度かお会いしたことがある。」


そう言われても、王様と会うなんて一般人にはハードルが高い。


「まぁ、王都までは2日ある。

嫌でも心の準備とやらはできるだろう。」


今回も途中で《小鳥の宿り木》に泊まったが、女将のアリータさんは、あら?今年はたくさん王都に行くのねぇ。なんて言っていた。




王都に着くと、とりあえず公爵家に向かった。

今回は非公式の話し合いらしいが、王様に会うからには正装をしないといけないみたい。


「久しぶりね、セレスト、みどりちゃん。

いつもは年に1回だけれど、今年はまた会えて嬉しいわ。」


「お久しぶりです、エステルさん。

これお土産です。」


今回は公爵家のエステルさんに渡すとわかっていたからお洒落なお菓子の詰め合わせを選んだ。

前回は知らずにどら焼きを持ってきちゃったからね。


「今回は大変なことになっちゃったわね。

みどりちゃんにも迷惑をかけてしまって申し訳ないわ。

今回のことは公爵家全員に関わる問題だから、私も話し合いには参加するわ。

謁見は明日でしょう?

明日は朝から準備が忙しいから、今日はゆっくり休んでちょうだい。」


非公式の話し合いだし、事件の内容が内容だから早めにいろいろと決めないといけないみたいで、王都についてすぐだけど明日が話し合いの日みたい。


前回正装をしてどれくらい大変なのかわかっているし、馬に乗っての移動で疲れているから明日に備えて早く寝ることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る