第39話


みどりは急いでギルドを出て女性の後を追う。


えーっと、あ!あの人だ!


「すみません。

さっきのお話聞かせてもらえませんか?」


「え?」


女性は胡散臭そうにこちらを見る。

たしかに私ってこっちの人と比べると、小さいし弱そうだもんね。


「あの、私一応魔法使いなんです!

何かお役に立てないかなと思って。」

 

そうしてとりあえず女性の家で話を聞くことになった。



この女性はミレニアさんと言うらしい。

いなくなった娘さんは10歳のサニーちゃん。

今朝近所の牛乳屋さんに朝飲む牛乳を買いに行ったきり帰ってこないそうだ。

牛乳屋さんに聞いても来ていないと言われたって。


「きっと誘拐されたんだよ!

最近この辺で行方不明になる子が多いんだ!

きっとうちの子も・・・う、うぅぅぅぅ、グスッ。」


「普段サニーちゃんが愛用しているものとかはありませんか?」


「・・・?このぬいぐるみはサニーが毎日一緒に眠っています。」


私はミレニアさんからぬいぐるみを受け取る。

うーん、素材とか魔物探しにしか使ったことないけど、いけるかな?


「【索敵】」


お、いけるみたい!


見つけた!

けど、うーん。あんまり治安が良くないところにいるなぁ。


「どこにいるのかはわかりました。

でも、迷子とかじゃなくて誘拐かも。

危険なのでミレニアさんはここで待っていてください。」


「本当に1人で大丈夫なの?

兵士に知らせてついてきてもらったほうがいいんじゃない?」


「大丈夫です!それに人数が多くてバレちゃったら意味ないので。」


それに、私は強化魔法使って移動できるけど兵士さんはできないからね。

移動が遅くなって何かあったら大変だし。


「それじゃ、行ってきます!」


そういうと【索敵】が示す方向に走り出した。






「ここかぁ。」


見た目は空き家っぽいけど、中には結構人がいるね。


「お邪魔しまーす。」


「んな!?

なんだお前は!!」


「えいっ!【スタン】!」


どんどん奥へ進み、人に会ったらとりあえずスタンで痺れさせておく。


うーん、空き家にこんなに人がいるのはおかしいけど、何も出てこないなぁ。


もう一回【索敵】。

あ、地に下室がある。

サニーちゃんも地下にいるみたいだね。


ここが入り口かな?


テーブルを退かしてカーペットを剥がすと地下への入り口が出てきた。

階段は真っ暗だけど奥にある部屋は少し光がついてるみたいね。


「・・・ひどい!」


地下には鉄格子のハマった部屋がいくつもあって、中には子供がたくさん入れられていた。

子供たちは寒さからか恐怖からか、奥にみんなでかたまっている。


「サニーちゃん!

サニーちゃんはいる?

お母さんに頼まれて探しにきたの!」


「・・・ほんとう?」


ミレニアさんに似たオレンジがかった茶色の髪にブラウンの瞳のかわいい女の子だ。


「あなたがサニーちゃんね。

無事でよかった!

今開けるからね。」


開けると言っても鉄格子には頑丈な鍵がかかっている。


これは魔法じゃないと無理かな。


「魔法を使うから、みんな後ろに下がって!

【ウォーターカッ・・・」


「お姉ちゃん危ない!!!」


「え?」


頭にガツッとした衝撃がくる。


やばい、油断しちゃったなぁ・・・。


手足の力が抜け、目の前が暗くなった。

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