第3話

『 武田正雄 様

突然のお手紙ごめんね。びっくりするよね。

高校生活、最後だから正直にストレートに言います。

私は正雄君のことが好きです。私と付き合ってほしいです。

美術の授業で教室移動するとき、よく2人で話をしながら移動したこと覚えてる?

とても嬉しかったよ。

6月の学園祭の頃からかな?

佐野君とか向井君、敬ちゃん、みんなで話をしているとき、

いつも黙っている私に話を振ってくれたり、一生懸命話を聞いてくれました。

みんなと一緒のグループにいることにちょっと不安があったんだけど、私もその空間に居ていいんだ、という気持ちになれました。ありがとう。

みんなと楽しく過ごせたり、大切な仲間ができたこと。

これは私にとって永遠の財産です。

みんなと仲良くずっと一緒にいたいけど、私は後悔したくないので、

たった一人あなたに想いを伝えるためこうやって今、手紙を書いてます。

でもね、私はあなたが、敬ちゃんのことが好きなことは知ってます。

お願いです。私にもチャンスをもらえないでしょうか。

最初は恋人未満でも構わない。

ダメなら返事はくれなくていいよ。

この手紙は破って、私のことは忘れてください。

今日で卒業だね。

最後になったけど、素敵な高校生活の思い出をありがとう。


森下倫子』

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