第6話 おじさん、勇者、魔王さま…… (6)

「あああ、そう言えば、お主の述べている通りじゃ、儂ら二人は、この白い車に先程勢い良く跳ね飛ばされたの……」


「えっ? あああ、確かに魔王の申している通りで、私もこの白い謎の乗り物に、勢い良く跳ね飛ばされましたよ……ッて、この白い乗り物は車と言われる物なのですよね? 殿方……?」


 俺がさ、世界中で、今時、車を知らない人など未だいるのだと?


 だから、この白い甲冑を着込んだ女性は、余程密林のジャングルの中で閉鎖的に生活をしていたんだな? と、関心をしていると。


 いきなり白い甲冑を着込んだ女性が、『魔王!』と、名指しした女性の方が、やっぱり俺に車で跳ね飛ばされたと述べてきたよ。


 だから俺は驚嘆──。


「えっ? ええええええっ! 嘘ぉおおおあああっ?」


 こんな感じで絶叫を上げたよ。


 でもさ、良く考えると?


 俺が驚嘆して声を大にして叫んでも仕方がない……。


 だから直ぐに、「そ、そうなのですか?」と、恐る恐る訊ねたよ。


「うむ、間違いないの……」


「はっ、はい!思ったより痛かったですね……」


 と、言葉が返ってきた。


 ううう……。どうしようか?


 やっぱり俺は、二人……。


 それも女性を……車で跳ね飛ばしたみたい。それも高齢者ではなくて、多分、声からして、結婚前の若い女性だと思う?


 ど、どうしようか?


 俺は自身の体が震えてきたよ。


 う~ん、震え悩んでも仕方がないから、と、取り敢えずは、警察を呼ぼうか?


 いっ、いや、ちょ、ちょっと待てよ! 先に救急車を呼んだ方がいいかな?


 そっ、それとも、保険屋さんにスマートフォンから電話連絡を……?


 いやいや、ちょっと待て! 待てよ! 待て……。ち、違うだろう!?


 先ずは俺自身、二人に謝罪をしないといけないよ!


 それも俺自身が心から誠意を込めて、謝罪しないといけない……。


 と、言う事だから、慌ててその場に座り込み土下座──。


 俺自身の頭を深々と下げながら。


「ほ、本当にすいません! 許してください! どこか痛い所はないですか?」


「えっ? いや、別にこれといって痛い所はないので、心配は御無用ですよ」


 俺が深々と頭を下げ土下座をしながら謝罪の言葉を述べると。


 白い甲冑を着込んだ女性の方が笑い声で、大丈夫だと述べてくれたよ。


 だからホッとして安堵した俺は。


「あああ、そうですか、良かった……」


 と、言葉を漏らたよ。


 でッ、その後直ぐに、また白い甲冑を着込んだ女性に。


「えぇ~と、どうしましょうか? 病院に行って脳の検査をしたりした方がいいとは思うのですが? 今から病院に行かれますか? もしも、病院にいかれるなら僕が車で連れしますよ?」


 俺は白い甲冑を着込んだ女性に訊ねてみたよ。


 すると白い甲冑を着込んだ女性は、「……病院?」自身の頭を傾げながら

 、言葉を漏らした。


 だから俺も土下座をしたままだが、白い甲冑を着込んだ女性のように、自身の頭を傾げながら、「はぁ、はい……」と、だけ言葉を返したよ。


 だって白い甲冑を着込んだ女性は、どうやら車だけではなくて、病院も知らないような感じなのだよ?


 だから俺自身もどう話したら良いか?


 少しばかり困惑をし始めるよ。


 白い甲冑を着込んだ女性にどう接して、説明をすれば良いのか? 俺自身も完全に困惑……。


 う~ん、さて? 本当にどうしたらいいのだろうか? と、俺自身も悩んでいると。


「……ん? あああ、そういえば、少しばかり、儂の頭や首の辺りが痛いの……」


 今度はね、自分自身の首を触りながら、黒い甲冑を着込ん女性の方が声を漏らしたよ。


「えっ? そうなのですか?」


 白い甲冑を着込んだ女性の口から驚嘆した声が聞こえてきた。


「うむ、儂は車の衝撃で、体中のあちらこちらが痛い……。それに儂のこの顔に傷がついたかもしれん? 儂は女子おなごじゃから、男のお主に責任を取って貰わないといけんようじゃが? どうなのじゃ、お主は? ちゃんと儂に対して、責任を取ってくれるのかの~? はよう、返答を申せ! お主は男だから、この調子だと儂は一生掛けてお主に償って、養って貰わぬといかんからの……」



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