第7話 お笑いのよしもとが「笑えない」

  「政治」は面倒臭そうだし、「政治」を語ることも“格好悪そう”と思っているそこの若者諸君、国会議事堂のある永田町だけでなく、キミたちの好きな「お笑い界」にも「政治」はあるんですよ。


 それが今、ワイドショーで連日取り上げられている「一部芸人の」です。「渋川ゼミ」では、「プロ野球と政治」「Jリーグと政治」などを考察してきましたので、ゼミ員には別に違和感はありません。改めて言いますが「政治は遠い世界の話」ではないんです。スポーツ界にも芸能界にも、そしてみなさんの身近なクラブ活動や「〇〇愛好会」にも「政治」はあります。決して“他人事”ではないのです。

 さて、改めて「闇営業問題」。よしもと所属の一部の芸人が事務所を通さずに「反社会的組織(以下、反社)」とつながりを持ち、直接お金をもらっていた「闇営業」が発覚。しかも、複数の芸人が事実関係を隠していた上、その「反社」が一般市民に詐欺行為を働いていたことから、厳しく非難されています。過去に“超売れっ子”だった島田紳助さんが「反社」との交際が発覚し“引退”(芸能活動休止)しているので、よしもとは今回の「謹慎処分」に問題意識もなかったのでしょう。しかし、今回処分を受けた芸人の多くは「給料が100円」とか「時給10円」などと報じられるなど、所属のよしもととの不透明な契約関係も明らかにされています。吉本興業が政界と関係を持ち、補助金などを受ける関係にあることから、「下請法」などの法令に違反していないかなど、その責任が問われているのです。


 なぜ「労働同基準法」でなく「下請法」なのかー。簡単に言うと、「所属」といっても芸人やタレントの場合はサラリーマンとは違って個人事業主だからです。どうです? 少し「政治」に興味出てきましたか。政府との関係で言えば、よしもとの大崎会長は政府の有識者会議「基地跡地の未来に関する懇談会」の5人の委員のひとりにもなっていて、もしかしたら加計学園の獣医学部新設のような「特区ビジネス」を狙っているとも囁かれています。俄然、興味湧いてくるでしょ。「芸人と所属会社」という関係での狭い意味での「政治」ではなく、実際に政府とつながっているのですから。


 多くの芸人は「お笑い」では飯が食えないので、アルバイトを掛け持ちして生計を維持しています。バラエティ番組などで自虐的なネタとして明らかになっている事実ですから、深く考えることはありませんでしたよね。でも、この国には都道府県おとに「最低賃金」が保障されていて、月の給料が100円とかありえません。だから、名目上タレントは全て“個人事業主”として逃げているわけです。が、改めてこういう「文脈」で見ると笑い事では済まないのかな、と。この問題は簡単に解決しそうもないので、夏休み明けの渋川ゼミでも考えてみたいと思います。私が提案しなくても、彼らから持ち掛けて来るでしょうが…。


 この問題では、ダウンタウンの松本人志さん、“大御所”の明石家さんまさん、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんらがメディアに対し、声を上げています。そして、極楽とんぼの加藤浩次さんも一時は「よしもと」から離れると宣言し問題を複雑化させています。彼らはいずれも“一握りの成功者”で、政治の世界で言えば「派閥の領袖」的存在。たくさんの後輩芸人に支持される上、テレビ局にも影響力を持ち「シンパ」の若手芸人の番組起用にも影響力を持っているほどです。こちらも話が長くなりそうなので、また別の機会に。

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