第13話 ジョナサンの覚醒~砂漠の攻防④

 ムハンマド王子はプリンス・チャーミングに、

「大好なイマージュと一緒にいさせてあげるんだから、私に感謝すんだぞ」

と言うと、突然、プリンス・チャーミングを鳥かごの形をした檻の中に突き飛ばした。そして檻の扉を閉め、外から鍵をかけてしまった。

「大丈夫、後で出してあげるから、心配しなくていい」

 そしてプリンス・チャーミングを置き去りにして、どこかへ行ってしまった。」


 プリンス・チャーミングは驚いたふりをしたが、実際はこんなことは予想範囲内のことで驚きもしなかった。しかしイマージュの衰弱ぶりは想定範囲外だった。

 砂漠の暑い地とはいへ、何も身にまとわず空調の利いた涼しい部屋でぐったりと横たわっているイマージュを見て、プリンス・チャーミングは自身が身にまとっていた薄い上着をイマージュの上半身にかけてあげた。すると、ほとんど聞こえないような小さな乾いた咳をして、イマージュが目を覚ました。

 おぼろげに浮かび上がるシルエットにイマージュは、誰だろうと思っていた。

 今までに見たこともないような、イタリアのダビデ像のように美しい、少年とも青年ともいえる、不思議な美しさを湛えた人物がそこにいた。

「目を覚ましたんだね、イマージュ」と、美しい笑みを浮かべて彼は耳もとでイマージュにささやいた。

「僕は君の見方だ。ジョナサンにたのまれて、君を救出にきた」と言った。

そして隠し持っていたカプセル状の薬を、監視カメラから見えないようにして口に含み、イマージュに口づけをしながら、口移しで飲ませた。

「ジョナサンもいま、宮殿のなかにいる。もう少しの辛抱だ。僕たちは君を必ず救出する」と言った。

 プリンス・チャーミングはムハンマドが他の部屋で、二人を監視して楽しんでいることも知っていた。だからムハンマドが喜びそうなことをするふりをしたが、それはあくまで、ふりであって、自身の裸体を監視カメラにさらすことによって、衰弱したイマージュを守った。イマージュの体を抱きながら横で添い寝したが、それは冷え切ったイマージュの体を温めるためだった。






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