第5話 王子ムハンマドと美少年スター ⑤
テロはコンサート会場で起こった。
ファンを装ったテロリストが警備員を振り切り、舞台によじ登りスターに抱きついたのだ。そしてそれと同時にコンサート会場のあちこちで爆弾が爆発し、会場は紅蓮の炎に包まれ、混乱の渦に巻き込まれていった。
狙われたのはイマージュのコンサートだった。
多くの死傷者が出たのだが、自爆テロ犯に抱きつかれたイマージュの遺体はもはや回収不能とされた。世界中がイマージュの死を、嘆き悲しんだ。
そのテロ事件の数日後、宮殿のムハンマド王子のもとには、大きな荷物が届けられていた。以前から注文していた新しいペットが、やっと届いたのだ。
注文通り、人間の姿をした美しいカナリヤが、箱のなかで眠っていた。
「やっと届いたか…」と、言った後、ムハンマドは箱の中から、その美しいカナリヤを大事そうに取り出し、抱きかかえた。そして満足そうにカナリヤをしばらくじっと見つめていた。
そしてカナリヤのために用意したハーレムの奥の特別な部屋へ、カナリヤを運んだ。それは大きな鳥かごの形をした家であり、部屋だった。
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