#21. antique gold


 絢爛豪華神々こうごうたる出で立ちで、


 湾曲した鉛の矢をつがえては、


 ここにおらぬ人々を射殺す事、


 それすらうれわぬ鋼の心を持つ、


 三千の日を数えを月を食い、


 荒らした土壌を魚に手渡して、


 水底に沈む狂気が常人じょうじんとされ、


 生きる途上に意味がなくなり、


 死ぬその過程すら価値が失せ、


 銅貨銀貨金貨関係なく泥の底、


 意図も企図きとも帳消しとされた、


 おおよそ我々が望むべき理由、


 机上きじょうの空論が良しとされると、


 忘却と無視は無関心と同一視、


 淡々と呟く指先に返事は来ず、


 燦々さんさんと降りそそぐ希望は無為むい


 折れたペンと砕けた剣を構え、


 ひしゃげた盾が役立つと信じ、


 毒の沼に嵌る足を見落とした、


 散々さんざんにも滑稽な一艘が今滑る、


 船底の穴には誰も気付かない。

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