UNDEAD PEASE

狛犬わらび

第1話 序章

8月15日PM11:00ニューヨーク郊外

あたりは静かで薄く光る電灯と一台の車のエンジン音だけ…

ブウウゥゥン…

ガタッ!

「んっ?」

彼は反ゲリラ組織のジェームス・アネット、家に帰る途中だ。


「まさかパンクか?やんなっちまうな」

「しかたねえここのガソスタ借りるか」


ジェームスはスペアタイヤを探しにガソリンスタンドに立ち寄った。

チャリンチャリン…


「誰かいますかぁって誰もいねえよな」

「んま、これだけもらおうか、」


そしてジェームスは有り金すべてレジの前へ置き店を出る。

誰もいない通りで一人車を修理する。

後で誰かの声が聞こえる。いや唸り声といったほうが正しいか。


「なんですか、俺はただ、修理しているだけっすけど。」


答えたのに返事がない。不思議に思い後ろを向くと…

「ウガアァ!」と腐った人間が飛びついてきた。

(くっなんだこいつ力が強い!)

何とか蹴り飛ばすとジェームスは咄嗟に銃を構えた。

ダンッ!ダンッ!

と二発撃ちこんだ。

返り血を浴び崩れたジェームスは


「ハァハァなんなんだ!?」


落ち着きを取り戻そうと二回深呼吸をし

急いで修理し終えると車に乗り込んだ。


「くそっ親父とアシュリーが危ない!」



アクセルをいっぱいに踏むと家族のいるインディアナへと向かった。

              -----

8月15日PM11:30インディアナ

そこには頬がやせこけた一人の中年と若い娘が街角で座っていた。


「父さん、きっと兄さんは来てくれるはずよ。だって昨日兄さんから戻るって

電話があったじゃない。」


そう彼女こそがジェームスの妹アシュリー・アネットだ。

無論彼女は、いやこの国の人々は今日までこの生物災害を知らなかったのだ。

彼女の持ち物は、わずかな食料と一丁の銃のみ…

さっきまでしゃべらなかった父が口を開いた。


「なあアシュリー」

「なに?父さん」

「…アシュリーだけでもここから逃げたらどうだ」

「俺もまあ老いぼれだ。ついて行っても所詮足手まといになるだけだ」

「何を言って…」

「いいから逃げるんだ!お前もさっきの腐敗した人間になりたいのか!」


父は狂ったように怒鳴った。


「…」

「分かった。父さん死なないでね…」


コクッとうなずいた父の姿はもう遠くアシュリーは歩いて行った。




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