寄り添うこと、触れることがたとえ真似事でも、そこにある愛は本物です。

ファンタジー要素を含む時代ものでありながら、しっとりと落ち着いた読み心地の、大人向けの掌編です。

この物語の世界では、誰もが自分だけの「心珠」というものを持っています。
それは目に見えるものであり、一人ひとりの心珠が異なる色彩や輝きをもつものなのですが、主人公の縫の心珠は「汚い色」だと罵られます。
そんな縫の心珠を綺麗だと言ってくれるのがかつて縫の家の下宿生であった安利です。
愛し合う二人の暮らしぶりは、傍から見れば仲睦まじい夫婦そのものなのですが、二人のそれは “真似事” であり……。

触れられない心珠。
契りを交わせない夫婦。
真似事であっても、そこには確かに愛が存在しています。
心を寄せ合いながら静かに日々を送る二人には、これから先もずっと幸せでいてほしいと願わずにはいられません。

その他のおすすめレビュー

侘助ヒマリさんの他のおすすめレビュー481