長男の死亡宣告

胡志明(ホーチミン)

第1話 はじめに


私の長男(名前は「なりゆき」といいます)が5歳のときに、はしかを発端にして麻疹性脳炎、髄膜炎、髄炎、肺炎を一度に患いました。


これらの病気の、どれ一つを取っても体力の無い5歳の子供には「致命傷」です。


担当主治医の山口先生からは非情にも、「この状態では90%命の保証はありません。さらに残りの10%は後遺症が残って植物人間となり、一生が車椅子での生活になると覚悟して下さい」と宣告されました。


私自身が32才の時の話です。

この言葉を聞いてハンマーで頭を殴られたような気がしました。


映画やドラマではなく「これは現実なんだ」と認識するまでしばらく時間がかかりました。


昨日まで幸せだった生活が、こんなに脆く一瞬にして崩れ去ることが世の中にはあることを知らされました。



この記録は、長男の発病から長期のこん睡状態に至り回復するまでの90日間を綴ったものです。


全て毎日、日記をつけていたのを転記したものなので全て事実です。


担当医はこうも言いました「今の医学で、生き残って後遺症が無い状態になるのは100万分の1の確率です」と。


その100万分の1の確率から生還した正確な記録を残す必要があることと、同じ症状の子供を持つご家族の方への一助となれば、と思い筆を取りました。


現在長男は、その後のリハビリの効果も手伝って、全く普通の子と変わりません。


その彼の軌跡(奇跡)を、みなさんに伝える事により世の中の同じ症状をもつ子供のご両親に少しでも心のささえになってもらえれば幸いと思っております。


この話はすべて実話で、みのもんたさんの「アンビリーバブル」にも番組化され全国に放映されました。


拙い文章ですがお付き合いください。

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