第15話 守ったるさかいに!




「ちょっと、待って、マキノちゃん。ちょっとって。」





♡その場から逃げるように、顔をうつむけ足早に駅から遠ざかっていくマキノの背中に珠代は息を切らせながら追いついたの。♥





「はぁはぁ、マキノちゃん、やっと追いついた。久しぶりに走ったから息上がってもたわ。」



「珠さん、あの…突然飛び出してしまってすみません、あたし、その。」



「ああ、かめへん。ほれより、ちょっと甘いもんでも食べよっか。

はぁはぁ、ウチしんどいわぁ。」





♡前屈みになって息を整えている珠代の背中をマキノがさすっているね、

まるでおばあちゃんと孫娘みたい。


 二人はその場所から少し歩いた喫茶店に入り、珠代は特大のパフェを2つ頼んんでね、それが笑っちゃうくらい大きくてさ、

えっと、多分だけど二日分のカロリーはありそうねぇ。


 目の前にきたパフェにマキノを目を丸くしておどろいたんだけど、そのあとクスクスと笑いだして、二人とも学生みたいにはしゃいじゃっているね。

珠代って人の気持ちの痛みってよくわかるんだよね。♥





「ごめんね、ウチがなんか、その、面倒なことに誘ってしもて。」



「いいえ、あたしこそ、勝手にあの場をあとにしちゃって、ちょっと子供じみててなんか情けないなぁ。」



「あの子、莉央ちゃん、ほんまはなんやで。

優作が小さい時はな、ぜんぜん勉強できへんかったから莉央ちゃんが家に来てくれてな、スパルタ家庭教師で勉強を教えてくれててん。

優作が四年生でやっと九九を覚えたんも莉央ちゃんのおかげやねん。



「莉央ちゃん素直でええ子やったんやけど、、、

東京に行ってから少しなんかトゲトゲしてしもうたっていうか。

ほんでもあれはちょっとひどいと思うわ!マキノちゃん許したってね。」



「いいんです。それより、ちょっと本当のことを突かれて

逃げたっていわれて、実際そうなのかなって。

でもね、今はみなさんと知り合えて、お味噌も作れていま幸せですよ。」



「マキノちゃん。。。」



「あの、こんな時になんですが、お願いがありまして。

あたしがその、芸能活動していたのを内緒にしてもらえますか?」



「なんや、そんなことかいな。

もちろんや!マキノちゃんがそういうんやったら言わへん、それにウチら協会のみんな、あんたが工房にいてくれてるだけで救われてるんや

頭を下げなあかんのはこっちのほうやがな。」



「マキノちゃんあんな、言いたない事は言わんでええよ、あんたは誰がなんと言おうと竹生うちらの子や!

この街がマキノちゃんの二つ目の故郷になったらええな。

心配せんとき、なにがあっても、


「うるうる、、、たまさぁあん。」




♡たしかにマキノがこの街にきてからというもの、浜や珠代の目には街に色がついたというか、確実に新しい力が何かを変えようとしているきざししを感じているの。きっとみんなが「あなた」のような優しい風を待っていたのよ♥



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