第12話 最近のマキノのこと



♡季節も秋が濃くなり、木々の葉は茜色に染まっている。


 すっかり地元民になっているマキノだけど、

じつは浜の家に居候いそうろうしているんだ。

いや、留め置かれているって言った方がいいかな?


 マキノはお仕事として腰を据えて味噌作りしようと、

近所にアパートを探し始めたんだけど…

浜がマキノを手元に置いておきたいというか。♥




「そんなもったいない、ウチにいとき、なっ。マキノちゃんがいてくれたら

家が明るくはなやかになってええわぁ。」





♡…ってな感じでさ、マキノもこの家の居心地がいいみたいで、踏み切れずに。


 実際味噌作りだけだと時間に余裕があるので、夜は居酒屋日吉の看板娘として手伝いをしてるの。

 最近はでマキノ人気でさらに大繁盛の大忙し!

結局、余計にこの家から出て行くことができなくなっていってね。

マキノ的にも「必要とされているんだったら、うれしいわ」とばかりに

竹生での生活を楽しんでいるみたい。



 居酒屋を手伝うと知り合いも増えていき、ある会に参加するの、それはね…。



「竹生町政百年祭ひゃくねんさい実行委員」



 えっ?何する会かって?えっとね、竹生ちくぶ町は

再来年で町政百周年を迎えるんだけど、商店や地元企業が集まって

お祝いイベントをするって組織なの。



 そうそう、大切だから、このへんぴな田舎の竹生のことを話すね。


 その昔は琵琶湖を使った船の湖上交通が盛んで、とても賑わっていたんだって。

でも、昭和40年代の高度経済成長期の、工業化とモータリゼーションの波で

湖の利用が減ってね、次第にの僻地へきち、そう陸の孤島になってしまったの。



 そうね。竹生は今でいう横浜くらいの賑わいがあったのよ。

ごめん、ちょっと言い過ぎたかな。

とにかく、時間が止まちゃんだよね、なんかさ、昭和ノスタルジーが

凍らされてそのまま残っているみたいで。


 古い町並みや史跡など歴史資産が豊富なんだけど、

広告と観光化が全くできていないんだよねぇ。


 でもね、このあと、「ある男が現れて」竹生の観光イベントは大成功するの!

まぁちょっと後の話ね、その男マキノとなにやら関係があるみたいだよ…


ふふふ。♥

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