メランコリー・ボーイ 本編1

オーバーヒートな王(7月)

7月29日


「あーあ、次体育かよ、もう~」

「文句言わない~。9月には運動会なんだよ?」

「まだ、2か月も先じゃねーか! 普通この時期はプールだろ…夏休みは8月からだし…」

「つうか、王様どこだよ?」

「女子の列のとこだね~。あ、始まるみたいだよ」


俺、こと春樹はるき 健治けんじは、簡潔に言えば普通のどこにでもいるような小5の学生だ。

ただ、四季という同学年で同じクラスの女子のことを除けば、だが。


「これから、●●(演目)のテープを流すので、それに合わせて踊ってくださいね!」

「あぢ…早く教室に戻らせて…」

7月の終わりの夏空はカッとした炎天下だった。足元は陽炎で揺らめいている。


三十分後…。


「はーい、水筒休憩入れまーす! 皆水飲んで~!」

「やっと休憩かよー…。あーくそ、飲み物あったまってるし…」

「ペットボトル!? 普通水筒だろ!」

「まあまあ、僕シェアできるタイプの奴だし、良ければ飲む?」

「「みっちゃん女子力高っ!」」

「僕、兄弟多いから自然とこれなんだよね~」

「あ~、助かったわ…ってあれ?」

気が付くと王様がいないのに気づく。女子のグループにもいないし…。

「ちょっと、席外すわ。ごめん!」

気が付くと駆け出していた。

「あっ! 待てよケイン!」

「ちょっ、ええ!? 二人ともどこに行くの!?」

あわててついてくる二人を尻目に、俺はあいつを―――、四季を探していた。

「ったく、どこだよ……ん?」

「はぁ…はぁ…」

少し歩くと道端で倒れている王様を発見した。

「王様!? 何してるんだよ…。ってすげー熱!」

「全く、ケインどうした……え?王様!?」

「はぁはぁ…、二人とも足早いよ~…。あれ?王様!?」

「おい、保健室まで運ぶぞ! 熱だ!」

「「なんだってー!?」」

「王様、待ってろ、今保健室まで運ぶからな!」

「って、ケイン運べ…うわ、おんぶ!」

「おんぶ言うな! えーっと保健室は…」

「こっちだ!急げ!」

レオっちに言われるがまま、保健室まで四季を運んだ。

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