第6話 レジスタンス
レジスタンス本部。
いわゆる国家に背く勢力が集まってできたこのレジスタンスは、7人の「
「精鋭者」レベルの人間は10人ほどしかいないと言われているなか、その半数以上をこの隊が持っているということもあって王国軍は攻めあぐねている状況です。
しかし、こちらもこちらであまり攻撃ばかりともいきません。それは、王国軍の「
「英雄」一歩手前の実力を持った彼らがいる手前、下手に動いて体制を崩されてしまえば勝ち目はないというのです。
そんな拮抗した状態の中で、戦場を駆け巡る一人の戦士が徐々に実力をつけているのをレジスタンスはまだ把握していませんでした。
「大変だ!ドールが!」
ケミンズは慌てながらケルアに伝える。
ドールは体に無数の傷を負っているものの、役割はしっかりと果たしていたようだった。
「とりあえず、レジスタンスに手紙は渡せたようだし、残念だけどドールはあくまで僕の魔法だから傷を負っても僕の魔力が減るだけだ。だが、一体誰にこんなことをされたのだろうか?」
傷は切り傷のようなもので、だいぶ深くまで刃が通っていそうだ。
ドールを取り込めばドールが見たもの、聞いたものは自分も見たり聞いたり出来る。
早速取り込んでみることにしようか。
おそらくこれは帰りの道中なのだろう。手紙は持っていないし、目線の先には森のさらに後ろにある山が確認できる。特に変わった様子はないが、次の瞬間には後ろから捕まえられ口封じをさせられていた。
「森を守りたいだとかなんだとかは分かるけどさ、こっちだってこの森は重要なんだよ。なにせ、こっちの拠点には『精鋭者』リハルド様が来られるからな。だからなんの恨みもねえが森の精霊に伝えてくれよ、抵抗するとこうなるって」
自分勝手な言い訳のあと、ドールは殴られ、蹴られ、さんざんボロボロにされた後、血はおろか殴った跡すらできないドールに剣で切りつけたりと凄惨なものだった。
その後はおそらくケミンズが駆けつけたのだろう。賊たちが蹴散らされている途中でドールは気を失っていた。
「精鋭者が絡んできますか……」
僕は少しの間うなだれるが、すぐに顔を上げた。
「リハルドを来る前にやっつけておく必要がありそうですね」
「いや、無茶言うなよ!相手は精鋭者、今の私達では二人がかりでも倒せるかどうかなんて……」
「いずれにしろ精鋭者とか最鋭者とかと戦うことも有り得るわけですよ。それが少し早まっただけです。それに、ドールがあんなことになって黙ってはいられません」
とはいえ、精鋭者に勝てるかどうかといえば疑問ではある。なぜなら、龍族や精霊族にはそういったレベルの基準がないからである。
__________まぁ、英雄クラスになってくるとどう頑張っても勝てないが。
ケミンズはあまり乗り気ではなかったが、ドールのことは確かにひどすぎると無謀な作戦に乗ってくれた。
「リハルド、ジャッジメントです!」
正義だ悪だというのは関係ない。ただ、彼のしたことを裁く。それだけだ。
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