第36話イロモノカレーを作りました
火竜観光を終えた俺たちは、またサンドリザードに乗り街へ戻った。
ちなみに帰りも万能薬の世話になりました。
いやぁ現代の乗り物ってすごかったんだな。
「それじゃあお疲れ様だったねユキタカ❕ また会うこともあるかもね!」
「はい、その時はまた」
タバサに手を振り、観光屋を後にした。
さて、もう夕方になっちまったな。
「ユキタカ、お腹すいたにゃ」
「うむ、俺も小腹がすいてきたところだ」
火山に行ってたので昼飯は食べてない。
昼夜兼用でガッツリ食べたいところである。
「雪だるまは何かリクエストはあるか?」
「自分はカレーライス食べたいのだ! 溶岩を見てたら食べたくなったのだ!」
「カレー! ボクも食べたいにゃ!」
なるほど、言われてみれば溶岩が沸き立つ様子はカレーっぽいかもしれない。
「わかった。じゃあ今日はカレーにするか」
「にゃ! やったにゃ!」
「嬉しいのだ」
少し前に食べたばかりだが、熱心なリクエストには答えねばなるまいよ。
というか俺もカレー食べたくなったしな。
「じゃあ肉を獲ってくるにゃ!」
言うや否や、クロはすごい速度で街の外へ走って行った。
まだ肉は沢山あるんだが……止める暇もなかったな。
「じゃあ雪だるま、買い物でもして待ってるか」
「わかったのだ」
俺は雪だるまと共に市場へと赴く。
森で採ってた野菜のストックが少なくなっているのだ。
カレーを作るなら野菜を補充しておきたい。
最近肉が多かったし、野菜をたっぷり入れたカレーにしよう。
市場に足を踏み入れると、丁度夕飯前だからか買い物客で賑わっていた。
「ニンジン、タマネギ、ピーマンと……うん、一通りは揃ってるな」
市場には森で採れる野菜が並んでいた。
とりあえず常備菜を大量に買い込んで鞄の中に入れておく。
「ユキタカ殿、アレはなんなのだ?」
雪だるまが指し示したのはでっかいキュウリのような野菜だった。
「おっ、これはゴーヤじゃないか」
いわゆるニガウリというやつで、昔は沖縄とかで栽培されていた野菜だ。
夏バテに効くし、健康食品として注目された事から近年では食べられ始めたんだっけ。
「よし、これをカレーに入れよう」
昔、実家で育ててたゴーヤを無理やり押し付けられて困っていた時にカレーに入れて食べたが、意外と相性は悪くなかった。
苦味がいいアクセントになるのだ。
まぁカレーと相性の悪い食材なんて殆どないのだが。
ちなみにピーマンを入れても美味いんだこれが。
「ただいま戻ったにゃ!」
材料をしこたま買った俺たちがホテルで仕込みをしていると、クロが帰ってきた。
ちなみにこのホテルでは食事は出ない代わりに、室内に調理器具が置いてあるのだ。
クロが捕らえてきたのは、逞しい脚を持つダチョウのような巨鳥だった。
「大っきいのが獲れたにゃあ」
「おっ、サンドバードか」
いわゆる飛べない鳥の魔物だっけ。
その分走るのが速い魔物だとか。
一撃で大岩も粉砕する脚力があるらしいが、クロには通じなかったようである。
肉は他のがあるが、今回はサンドバード肉を使ってみるとするか。
「んじゃ解体を頼むぜ、精霊さん」
精霊刀を取り出し、お願いするとサンドバードは部位ごとに解体された。
まな板代わりの岩の上にどんと乗った赤身肉は、油がしっかり乗っていて牛肉そっくりだ。
へぇ、ダチョウっぽいからどんなもんかと思ったが、美味そうじゃないか。
牛スジっぽいし、煮込めば牛スジカレーみたいにできるかもな。
肉をサイコロ状に切って鍋に入れ、じっくりと煮込みながら野菜を刻む。
タマネギ、ニンジン、ピーマン、ゴーヤを細かく刻んでおく。
十分煮込んだ肉からはかなりのアクが出ていた。
牛スジも煮込むと結構臭みが出るからな。
それを全て取り除き、野菜を投入。
あとは普通のレシピ通りである。
しっかりかき混ぜカレー粉を入れて、完成。
「はい、出来たぜ。スジゴーヤカレーだ」
色々入れてみたが、中々いい感じに出来たな。
カレーをご飯の上にかけ、三人分並べる。
「美味しそうにゃ!」
「いい香りなのだ」
「まぁ食べてみてくれよな」
「いただきますにゃ!」
俺も手を合わせ、食べ始める。
とりあえず肉を一口。
むぐむぐ……うん、味も牛スジそっくりだ。
魔物肉だから味も濃厚で、その旨味がカレーに染み込んでいてスープも美味い。
肉は煮込んでいるから柔らかくすぐ嚙み切れて、口の中で溶けていくようだ。
ゴーヤもいいアクセントになっている。
肉の旨味が強すぎてカレーが甘くなりすぎるところを、苦味で丁度良くしている感じだ。
「ん、こりゃ美味い!」
少し変わった組み合わせではあるが、これもまたカレーである。
火の国は暑かったから、夏バテ対策に効きそうだ。
「美味しいにゃ!」
「とても美味なのだ」
「そいつはよかった。たっぷりあるから好きなだけ食べな」
「にゃ!」
俺たちは一心不乱にスジゴーヤカレーを食べる。
二人の食欲はすさまじく、あっという間に使った分を平らげてしまった。
「全く、よく食べるぜ」
「ボクたちのせいにするのはよくないにゃれユキタカだって二回おかわりしたにゃ!」
「……バレたか」
まぁともかく、それくらい美味かったのである。
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