第13話《動物公園への道のり》

千葉駅に戻り、千葉モノレールに乗り込む。

これに乗ってしまえば動物公園までは、およそ十分で着くはずだ。

しかし、動物園に行くのは本当に久しぶりだ。

前に来たのが、確か三年前ぐらいか。

中一の時にシンと来て以来だ。


「渡部さんは動物公園に行ったことあるか?」


「私は……小学二年生の時に来て以来ですね……」


「確か十年以上前にレッサーパンダが二本足で立ったって話題になってたな……その影響で?」


渡部さんが急に俺の方を振り向く。

こ、心なしかラノベのことを話していた時に似ている気がする……


「そうなんです!その子の姿が可愛くてレッサーパンダが好きになったんです!」


「そ、そうか……たしかに可愛いもんな、レッサーパンダ」


渡部さんのレッサーパンダ愛が強い……

いや、ラノベの方がすごかったけど。


「ですよね!柳さんは好きな動物とかいるんですか?」


「え?好きな動物?うーん……豚……かなぁ?」


「ぶ、豚!?それって食べ物としてじゃ!?真面目に答えてください!」


「ご、ごめん!いざ考えると出てこなくて……」


好きな動物か……

幼稚園や小学校の頃はライオンが好きだったと思うのだが、今ではそんなに……という感じだ。

改めて考えてみると、今、好きな動物はいないな……


「……うん。やっぱり出てこないな……好きな動物……」


「そうですか……じゃあ、今日見つかればいいですね!」


そう言って渡部さんはニコッと笑った。

ヤバイ……マジ可愛い……


「お、おう……そう、だな……」


「……?顔赤いですけど大丈夫ですか?風邪ひいたんじゃ……」


「い、いや!大丈夫だ!」


「本当ですか?何かあったら、言ってくださいね?」


「わ、分かった。その……ありがとう……」


「え、あ、はい……す、すいません……また、テンションが上がってしまって……」


「い、いや、全然大丈夫。ほら、そろそろ動物公園に着くぞ。降りよう」


「そ、そうですね」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る