第7話わたしのお兄ちゃんになってください

今日はアニメイトでラノベを

買いにやって来た。

この時期になると今期放送中アニメの漫画、ラノベ原作が目立つ所に平積み等されている。


今ブームであると実感。

それにフェアというものある。

始まってけっこう経過したが

まだ終わっていないだろう。

店員に訊けばいいのだが、

俺は苦手なので絶対に訊かない。


(おぉー!これとこれも買って、

あっ!この新刊はスマホで試し読みで面白かった妹ものは・・・まぁ、

買うよね)


気づけば10冊のいつもの量で会計を済ませ店を後にして外に出る。


真夏の炎天下で汗が流れ倦怠けんたい感へとなる。辟易しながらもいい小説のネタよなにかー!と天を祈る気持ちで歩く。

が、今日もネタの収穫はなく

家の門に辿り着くとJKがいた!?


「あっ!や、山脇さんおかえりなさい・・・あれ?それとも

ただいまかな?」


「峰島さん・・・もしかして

ここでずっと待っていたの?」


夕方や夜ではなく群青色ぐんじょういろの昼過ぎ。

制服のままで待っていたけど疑問がある。隣に家があるのに戻らずに着替えずいること。


「いえいえ、全然ですよ。

少し熱くって参りましたけど」


さすがに暑いにシャツ上のボタンを1ついきなり外し胸が見えそうになる―――


な、何やっているの!?

それに気のせいか、

スカートもいつもより短い。具体的には膝丈ぐらい短い。太腿ふとももが眩しく惹きつけてしまいそうだ。


「・・・一応、私も男性で

あってその過度な露出は目のやり場に非常に困るのだけど」


これ以上は危険なので指摘しないと。けど短いとか見えるとか言えるのはラノベ主人公だけ。

現実は悟るようにする。

すると顔をカッーと赤くなっていく。


「あ、あの猛暑の中で待っていた

から、許してほしいです。

た、偶々たまたまなんです。

こ、こ・・こんな色仕掛けなんて

・・・しませんので・・はい」


峰島さんは顔一面に赤くなりながら、

上手く言葉できずまくし立てるけど途中から諦め俯く。


(俺は色仕掛けって・・・言っていないのだが。もしや、わざとなのか)


「な、なんて言えばいいか。

色々とごめん・・・連絡すれば

よかった」


「連絡!?そ、その・・・ラインで

友達追加しましょう。

た、他意は、ありませんよ!

準備とか今みたいになりたくないし」


なんたか七転八倒。

好きだと分かっているから

彼女が喜ぶ言葉を返したくなるが、

それだと冷めてくれず偽りだ。


だからって、冷たくあしらう事などできるはずもなく肯定する

しかなかった。


「えへへ、今日も夜遅く一緒に

いましょうねぇ山脇さん♪」


・・・セリフが危ないよ、それ。

居間を先に入る彼女は

後ろへ振り返り、

欣喜雀躍きんきじゃくやくと笑みに声。

危うく、頬が緩める可愛さだった。


「ああ。本当に甘えたがりだね

峰島さんは・・・今日はどうする?」


「うーん、わたしにつき従って

いるようで、子供扱いばかりなので、

逆に山脇さんの好きなことで、

わたしが付き合いますよ」


まさか、そう返されるとは思わず

面を食らうことになった。


子供の成長は早いと、思い切り

的外れだと分かっても感動に浸りそう。

たかだが、一ヶ月前ちょっとしか

知り合いなのに。

具体的に2ヶ月前。空白に

一ヶ月も会っていない日があるのでちょっと。


「・・・ど、どうしたの。

はっ!?ま、まさか嫌いになって、

別れるとかそんなひどいことを」


妄想が一人と走る。悲痛で泣きそうになるのを見て俺は焦りを覚えた。


「ストップ。別れるなんて恋人

じゃないから!それは違うし

見捨てないから・・・・・

いや、私が応えにきゅうしたのは少し嬉しくでして・・・」


稚拙だ。我ながら稚拙だと感じる。

だから、理論と感情論が混ぜった

独特な言葉遣いとなる。

それで含まれる想いなど伝わるわけがないのだ。


「嬉しいですか・・・えへへ。

いつも、わたしの感情とか言葉

なんかで、嬉しくなってくれると

スゴく幸福になります」


しかし、伝わったようで少し

乙女らしい誤解もさせる結果になる。


「それは、好きな相手に・・・いや

私なのか。閑話休題かんわきゅうたいことで、私のすることに

付き合うことでいいんだよね」


「は、はい。そうなんだけど・・・

付き合うって響きだと、まるで

付き合っているみたいですよね」


それにはスルーします。


「それじゃあ、峰島さんは勉強をして

私は小説の執筆させてもらうよ」


やっぱり呆然とさせ、次に

不平不満を口にする。が、素直に

従ってくれた。


俺に合わせていたら、勉強など

疎かにしてほしくない。

家に身内がいないなら、俺がその

身内の代わりとしてその責務を果たす。


数時間が経過して、前を向くと

参考書、ノートなど広げ真剣な表情で

勉強する彼女。


なんとなく、どんな勉強をしていたか

気になり見てみると、

織田信長おだのぶなが

辿たどった人生を書いていた。


「へぇー、織田信長か。

高校でも学ばないといけないのか?」


「ふえ?もしかして日本史が苦手

ですか。以外ですね」


顔を上げって、以外ですと

表していた。実はそういうことではないのだけど。


「あー、なんて言うのか・・・

得意な方だから。他にも学ぶべき

偉人とかいるだろとか常々そう

考えるんだよね。

織田信長は、有名だしわざわざ

授業しなくても、勝手に

学ぶんだから、もっと違うの

やってほしい・・・はは、ごめん。

こう歴史オタクでもあるんだ」


恥ずかしい所を見せてしまったかな。

口を塞がらずに呆然という状態異常にある峰島さん。


「へぇー、疑問を持ったことなくて

理解できなかったけど、

スゴイですね!」


呆れたわけではなく、すごいすごいと眩しい眼差しと笑顔だ。


「あ、ありがとう」


「フフ。もう少し語ってくれ

ませんか?熱くなる所を見たいです」


「それなら・・・

織田信長だけど、よく初めて実行した

とか思われているけど、

先駆者がいるんだ。

例えば

城を引っ越しなんて普通にないのが

戦国大名だけど、父親がけっこう

城を引っ越しあったんだ。

だから、その影響を受けている。

それに、多くの鉄砲を買えたのは

父親・・・織田信秀おだのぶひでが、尾張おわりにある

津島つしまで豊富な軍資金を

手に入って、信長が当主になってからは近畿きんき

国友くにともで開発と購入。

国友は地名で、鉄砲の生産地。

それと、最近の研究によれば

軍記ものじゃない資料でよれば、

まずは従来からの説明を。

傀儡かいらい政治に利用していた足利義昭あしかがよしあき

権力が尽きるまで利用していたと

信じていたけど、

別の資料などでは、足利義昭のために

働いていた。

それも、周囲には主君が義昭として。

つまり、室町幕府を再建のため」


それから、熱に入ってしまい

彼女は、フムフムと頷き

目を輝かせ耳を傾いていた。


それが、心地よくって歴史オタクでも

最後まで聞いてくれないのに

彼女は聞いてくれた。遮れずに。


「と、本能寺の変では時刻は夜とか

伝わっているのもあるけど、

本当は朝方なんだ。

確か4時か9時の午前で。

さて、話が長くなったねぇ。

そろそろ終わりにするか」


名残り惜しいがさすがにテストに

出るか分からない話を延々とするのは

申し訳ない気持ちになる。


「び、びっくりです。スゴイです。

はっ!つい好きな人の得意な部分を

知ると舞い上がってしまいました。

えへへ、それでは次はわたしの

番ですね!」


わたしの番・・・嫌な予感しかない。

向かいに座っていた彼女は、

立ち上がる。座っている俺に頬を赤らめ見つめてくる。口はパクパクとして・・・もしかして、また告白か!?


「貸してもらった小説や山脇さんの

小説を拝見しました・・・・・

スゴく妹が好きなんだなぁ。て

思いました。ど、どうですか?」


ああー小説の感想か。

かなり急であって怪訝するほど

だけど、どちらかといえば

俺が頼んだのだし、守ってくれて

感謝で感激。


しかし、それだけではないと感想を

述べたりだけでは、終わらないと

予感がした。

そろそろ返事しなければ、慌て困る気がする。

表情を早く安堵しないと。


「あ、ああ。そのとおりだよ

自他共に認めるシスコン・・・

なんだか、スゴくサイコパスだね」


「いえ、良かったと思いました。

だって、それなら慣れるのだから」


「ん?慣れるなにを」


彼女は、制服の短いスカート裾を

ギュと握り、俯き。

そして、覚悟が出来たのか顔を上げ

口をゆっくりと開く。


「わたしのお兄ちゃんに

なってください!」


お願いされたのは、兄になって

ほしいだった。・・・・・頭痛が。

もちろん、なろうと思っても

なれない。

現実は突然、義理の妹ができたり

実は実妹がいたなど、ないから。


「ちなみに理由を訊いても?」


「反応が薄い!?」


いや、だって告白したり

制服や私服で落とそうと(恋愛的な意味で)しているくる。

たぶん、距離もちょっとずつ

縮めようとして、椅子を動かすのも。

そうされたら、適応力もつく。


「えーと、その・・・・・

そ、そうです!

お兄ちゃんの小説のためです!」


絶対にその場でひらめいた理由だよ。

しかし、メインヒロインが実妹で

かなりのブラコン・・・

小説の執筆にいいかもしれないと

一瞬だけ思ったが、よくない!

過剰な接触すれば懸念がある。


「そうすれば、お兄ちゃんの

小説よくなって

わたしも・・・ 大事に

してくれる。

もちろん本当の妹でもないし、

義理でもないけど・・・・・

お兄ちゃんとして甘えたい!

・・・素直になれない、わたしが

唯一に素直になれるあなたの

妹にしてください」


涙目になって、恥ずかしくても

遮二無二しゃにむにに勇気を振り絞る。

大きな声でお願いしてきた。

そんな儚く強い想いを込められ、

俺の返事は―――――――

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