第10話 0歳児と一緒に温泉旅館

 楽しくイベント参加を終えた熊一家。今回の旅行の楽しみ第二弾、温泉旅館へ向かいます。


 みちのくコミティアの翌朝、会場近くのビジネスホテルをチェックアウトして、タクシーで郡山駅へ。まずは駅ビルのお土産物売り場へ向かいました。一番の目当ては、郡山名物「クリームボックス」です。

 クリームボックスは、小さめの厚切り食パンに、甘〜いミルククリームが分厚く塗られている菓子パンで、特に郡山の駅ビルで売られているロミオのクリームボックスは数量限定なこともあり、お昼には売り切れてしまうほどの人気商品(※1)。実は旅行初日のお昼に、郡山駅到着早々買いに行ったのですが、すでに売り切れていたので、旅行中には絶対に手に入れたかったのです〜!

 朝、郡山駅に着いたのは10時半頃だったかな? クリームボックスの置いてある「三万石」を覗くと、まだ山積みになっていました♪

 三万石さんは、熊の大好きな郡山銘菓「ままどおる」を作っているお店(※2)。クリームボックスと、ままどおるを自分用のお土産に合わせて購入しました。


 さて、郡山駅から温泉旅館のある磐梯熱海駅までは電車で20分ほど。郡山市内なので、かなり近場です。チェックインまでまだまだ時間があるので、家族やおうちのひとの職場へなど、のんびりお土産を選んだら、お昼ごはんも郡山駅で食べていくことに。

 こぐまちゃんの離乳食は、ベンチかどこかで……と思って場所を探すと、お土産物フロアの近くにフードコートがあって、さほど混んでいなかったのでそちらをお借りすることに。ちょうど喉も乾いてきた頃だったのでフードコート内のお店でドリンクを買って、こぐまちゃんには用意していた離乳食をあげました。隣の席に座っていた女子高校生2人が、こぐまちゃんを見て「かわいい、かわいい」と言ってくれていたのが嬉しかったです。

 こぐまちゃんのごはんが終わって大人のお昼は、駅ビルの2階、レストランフロアにあった「もりっしゅ」というお店へ。福島産の地酒が揃っているお店ということで、昼間でも大人な雰囲気の店内でしたが、子連れで日本酒とはいけないので、甘酒をチョイス。こぐまちゃんはお腹いっぱいになってベビーカーで熟睡していたので、美味しい甘酒を堪能しつつ、ゆっくりランチをいただけました。


 電車の時間が来たので、いざ磐梯熱海温泉へ。電車に揺られて、のどかな風景を堪能しつつ、やってきました磐梯熱海駅! 途中無人駅などもありましたが、磐梯熱海駅は有人駅で、Suicaも使えるからとっても行きやすいです。

 電車を降りるとさすがは温泉地、いろんな旅館のお迎えバスが並んでいました。今回熊一家の泊まるのは「萩姫の湯 栄楽館」というお宿で、駅チカで歩いていける場所だったので、のんびり駅前の足湯に浸かってから向かうことに。


 お宿に着くと、チェックインと同時に忘れずに貸切風呂の申し込みを。夜は大浴場にも入りたかったので、夕食前の時間に45分借りることにしました。

 旅館内もベビーカーで移動して良いということで、そのままお部屋へ。中居さんがベビーカーのタイヤを綺麗に拭いてくれていたので、食事会場などもそのままベビーカーで入ることができて、とても楽に過ごせました。


 広い和室のお部屋でしばらくゆっくりして、こぐまちゃんのお風呂の準備。ベビーソープとベビークリームと湯温計とお着替えとバスタオルと。……ここで、ふとひらめいた熊。旅行初日、行きの新幹線で食べた駅弁のかにめしが、カニの形のお弁当箱に入っていて、めちゃかわゆかったので洗って捨てずにいたのだけれど、これがこぐまちゃんのお風呂セットを入れるのにぴったりの大きさじゃないですか〜! ……ということで、真っ赤なカニのプラスチックケースにベビーバスグッズを詰め込んで。フロントで貸切風呂の鍵と、予約の時にお願いしていた沐浴用ベビーバスを受け取り、熊一家はいざ貸切風呂へ♪

 今回貸切で借りたお風呂は、屋内の内湯と半露天の外湯、2種類が楽しめるお風呂になってました。

 まずは、こぐまちゃんを入れるベビーバスに内湯の湯船から温泉を入れて、湯温計でお湯の温度を計りました。温泉は熱いだろうからお水を足して温度調節を……と思っていたのですが、予想に反してベビーにも入れる温度の40℃。時間制限付きの貸切風呂だったし、手間が省けて良かったです。

 こぐまちゃんの月齢だと、もう沐浴はしていないのだけれど(※3)、せっかく借りたので、久しぶりにベビーバスの中で体を洗ってあげました。こぐまちゃんのお風呂担当はおうちのひとなので、洗うのはお任せして熊は先に内湯にドボン。さすがにベビーバスは狭そうだったけど、手慣れた手つきで洗われるこぐまちゃんを湯船の中から眺めながら、成長したなあとしみじみ。

 綺麗に洗われたこぐまちゃんを受け取り、湯船に浮かべた湯温計も40℃ジャストだったので、抱っこで一緒に入りました。

 温泉。熱いだろうから一緒に湯船に浸かれるとまでは思っていなかったので、一緒に入れてすごく嬉しかったです。こぐまちゃんも元々オフロスキーなこともあり、抱っこされながら初めての温泉に浸かって、気持ち良さそうにチャプチャプしてましたよ。すごくいい思い出になったな〜!


 ちなみに、外湯の方は少し温度が高めだったので、大人だけ……おうちのひとと熊と交代で入りました。こっちも気持ちよかった〜。

 この半露天のお風呂、なぜか温泉の流れ出ているところがタヌキの置物(オブジェ?)になっており……なぜかなぜか、タヌキのふぐり様から温泉が流れ出ているというスタイルで、ついつい写真を撮ってしまいました。ウフフ。誰のセンスだこれ。


 夕食は、用意された会場で取るスタイルで。和の創作コース料理、堪能しました♪

 0歳児子育て中の身では、あまりゆっくり外食ができていなかったので、野菜が美味しいお料理をこんなに楽しめるのは久しぶりだったかも。それと、こういう旅館には珍しくお鍋の〆がラーメンで、その麺が製麺屋さんと一緒に開発したものと聞いてこだわりを感じました。もちもち麺、すごく美味しかったです〜!

 こぐまちゃんはまだお座りが安定していなくて子供用の椅子に座らせるのには不安があったので(※4)、ベビーカーのまま入れてもらいました。

 旅館の、食事のお世話をしてくださる方がとてもニコニコ感じの良い方で、こぐまちゃんにも「お嬢さんにもご飯よそいましょうか。ふりかけをかけた方が良いですかね?」と声を掛けてくださったり(離乳食を食べた後だったけど、いただいたご飯も食べるこぐまちゃん)、食事中こぐまちゃんがぐずりだすと、ぬいぐるみを色々持ってきてあやしてくれたりと、とてもお世話になりました。

 食事の最後らへんには、こぐまちゃんが眠くてぐずぐずになってしまっていたので「残りはデザートだけなので、後ほどお部屋でごゆっくり食べてはいかがでしょうか」と、後から部屋に運んでくれたり、お借りしたぬいぐるみを気に入って離さないこぐまちゃんに「明日の朝、持ってきてくれたらいいよ〜」って言ってもらえたり。熊一家が泊まったこの日は3連休の最終日で、忙しさのピークが過ぎたので……とご本人は仰ってましたが(前日の忙しさを尋ねたら無の表情をなさってました(笑)、それにしてもプロフェッショナルな心遣いがとてもありがたかったです。


 夕食を終えてお部屋に戻ると布団が敷かれていたので、こぐまちゃんを放流。広いお部屋のお布団の上で、ゴロンゴロンと楽しそうにしていてごきげんだったので、今度は交代で大浴場を楽しむことに。一人はお部屋でこぐまちゃんと一緒にゴロゴロ、その間に一人はお風呂へ。

 大浴場は2種類あって、男女・時間別に入れるようになっています。夜に熊が入ったお風呂は、湯船以外が畳敷きという珍しい作りの浴場で、足元が柔くてそこもすごく気持ちが良かったです。こぐまちゃんの温泉体験は貸切風呂だけだったけれど、これなら子連れも安心かもと思いました。畳なので滑りにくいし、もし転んでも柔らかいので。あと、象さんのジョウロとか、水あそび道具も揃えてありましたよ。

 もちろん、お湯も気持ちよくて、泉質が優しいのもあり、結構長湯しました。上がったあとはお肌すべすべ。美肌の湯ですね〜。

 0歳児を育てていると、なかなか大浴場でのんびり好きなだけお風呂に浸かるということができないので、お風呂好き、温泉好きの方にはぜひぜひ温泉旅をしてほしいです♪


 栄楽館さんには何年か前にも泊まったことがあって、とても良かったのでまた今回選んだのですが、そのときには子供がいなかったので、こんな風に子供に対応してもらえるとはもちろん知らず……とても良くしていただいて、温泉と合わせて、心も体もすっごく癒されました〜。大人にはもちろん、子連れさんにもとってもオススメのお宿ですよ〜!!



***

 温泉旅館を堪能した熊一家。とっても良い思い出になりました♪ さて次回は最終回。第11話「0歳児とのイベント遠征旅行を終えて」をお待ちください。



***

※1:ロミオのクリームボックス

どうやら郡山市内の街のパン屋さんには、そのパン屋さんそれぞれのレシピでクリームボックスが展開されているらしいのですが、このベーカリーロミオのものが元祖らしいです。ベーカリー自体はイトーヨーカドー郡山店の中にあるそうですが、お土産用のかわゆいボックス入りのものが郡山駅で買えるので、ぜひ手に入れてください♪


※2:三万石のままどおる

ミルク風味の餡を、バター風味のしっとりとした生地で包んだ、優しい甘さの焼き菓子。郡山に来たら絶対にお土産にしたい、安心の美味しさ。


※3:ベビーバスで沐浴

雑菌への耐性のない赤ちゃんは、産まれてから1カ月間、大人とはお風呂を別にして沐浴をします。こぐまちゃんはもう大人と一緒のお風呂に入っていましたが、温泉のお湯が熱かったら一緒には入れないので、旅館にベビーバスをお借りしました。


※4:お座りができる

産まれたての赤ちゃんは首が座ってなくてグラグラなので、頭から首を支えていないといけないのと一緒で、背中と腰の筋肉が発達しないと一人でお座りができません。お座りができるようになる平均は6〜7カ月頃のようですが、こぐまちゃんはこの時期、まだお座りの練習中でした。

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