あの喫茶店のあの席で

@kazu0518

第1話 行きつけの喫茶店

コーヒーが好きかと聞かれたら、迷わずNOと答える。

じゃあ嫌いかと聞かれたら、迷わずNOと答える。


つまり、普通だ。


店員さんが可愛い?

いやいや、男性のお年を召したマスターしか居ませんとも。


じゃあ何故この店が行きつけなのか。


これが!というピンポイントのお気に入りはない。とも言わない。

なぜかは自分でもわからない。

あえて言うなら、この店のが好き…なんだ。


店内の1番奥の角の席。


ここから窓の外をなんとなく眺めて、なんとなくコーヒーを飲む。昼間から来られるのは小説家なんて仕事のためだろう。

…間違えた。小説家だ。

今日もこの席で進まない原稿とにらめっこしたり、窓の外を眺めながらコーヒーを嗜むたしな


使い捨てのミルクのゴミを指で弾く。

強く弾きすぎて飛び散り、原稿を濡らす。


でも俺は焦らない。

どうせ原稿は真っ白だから。

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