軽快でテンポの良い会話と緩急のある展開が魅力のキャラクター小説

この小説を一言で表すとすれば、上記の通りです。
個性豊かな登場人物たちによる賑やかなやり取りが楽しく、ギャグパートと真面目なパートのバランスが絶妙で飽きない。1つ1つのシーンが実感を持って目の前に浮かんできて、まるで読者もその場にいるような臨場感がある。

特に、キャラクターの動かし方に感動した。
例えば、第一部の解決方法は、「国木田独歩」にしか出来ない方法だった。けれども、決して強引な展開ではなく、キャラクターの立場を逆手に取った納得のいくものであった。斬新で面白いと感じた。

また、キャラクターの設定や登場人物同士の会話が、モデルとなった人物や実際のエピソードから近すぎず遠すぎずという具合で丁度良い。それ故にキャラクターにより一層親しみを持てる。史実のストーリーへの取り入れ方も綿密で、それを探すのも楽しい。

読後の余韻が心地よい、素敵な魅力が詰まった小説です。
もし第二部があるのであれば、続きがとても待ち遠しいです。