第8話 面談

「 面談 」


あなたの顎の縁にある黒子

あんなところに黒子があったのか

瞳が想像していたより茶色いことへの

軽い衝撃

わたしは見えないカードにコトバを書く

あなたに差し出す

( あなたにカードは見えただろうか )


空気は否応なく鼓膜を振動させ

四角いノートの罫線に

黒い文字を走らせていく

音に追われたその文字は

線と線の間にはとても収まらず

文字は崩れていく

それを眺めて

再びカードにコトバを書く

あなたに差し出す

あなたのコトバが届く

往復書簡の重量は

重くなることもなく

軽さで飛んでいくこともなく

長くもない短い時間が過ぎていく

テーブルに置いた腕時計の針が知らせた

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