第6話

北方戦は初期、最初の2ヶ月は順調に進んだ。連合の2つの国のうちの1つデルマルクは無血降伏したのである。デルマルクはシュレヴィーヒやホルシュタインの領土問題を帝国と有して居たが、元々帝国に適わないことを熟知していた。残りのスーデン王国は連合を解消。旧デルマルク軍部隊と戦艦1、海防戦艦2を有する残存艦艇がスーデン王国軍に合流した。更に共和国が帝国に宣戦布告。西方軍は遅滞戦闘を開始した。


「シュバルツ01よりヴァイス01。戦線を突破せよ。」


『了解、シュバルツ大隊の先駆けは任せられよ。』


『ロイター03より救援要請!』


ロイター中隊の救援要請。スーデンにはそんなに有力な魔導部隊は居ないはずだ。


『シュバルツ02救援に迎え!』


Damn it!Shit!


「了解!」


中隊が反転して右から侵攻してきた、増強中隊規模の敵兵。ログからは共和国軍のネームドが観測された。


「シュバルツ02よりCP。共和国軍ネームド観測。名称はrepublic'sAngel!」


共和国の天使。エルザース係争戦で単騎で魔導大隊を屠った化け物だ。その容姿は美しいらしく、だから天使の呼称を与えられた。


「シュバルツ02から戦域各部隊!共和国の天使が戦闘地帯に出現!」


沿岸部で天使?待てよ!


「メーデーメーデー!敵艦隊補足!戦艦4!空母1の大艦隊!国籍旗は共和国!共和国艦隊だ!」


眼下には共和国艦隊が上陸用舟艇を持って存在している。


「シュバルツ02より野戦重砲隊に沿岸部に上陸阻止砲撃要請。」


『CP了解!砲兵隊制圧射撃を要請。』


『要請受諾。試射を行う。』


重砲の弾着音。正確な狙いに舌を巻きつつ効力射を要請。上陸部隊は砲兵と増援に任すことにして、天使さんとどんパチやらねばならん。


対魔導装甲狙撃術式を展開し引き金を引く。

軽くかわされ更に相手は近づいてくる。

部下達と空間ごと焼き払おうと爆裂術式を展開し放つも簡単に突破される。距離は数十メートル。不味い。非常に不味い。


「砲撃術式用意!っ、散開!」


魔導刃で銃剣突撃してきやがった!


「各位任意の判断で戦闘を継続せよ!遅滞戦闘だ!」


『HQよりシュバルツ02司令部予備の連隊を出す!耐えてくれ。』


救援にきたヴァイス大隊は直ぐに落とされた。シュバルツ大隊も俺の中隊は小隊を残して全滅、2個中隊程度の戦力しか残っていない。


『砲兵隊よりシュバルツ大隊!上陸は処理。対空砲撃を開始する!』


「聞いたな!シュバルツ大隊には友軍の対空砲火に当たる間抜けは居ないだろう。避けろ!」


もう統制もクソも無い。各自生き残るのに必死だ。


『こちら共和国軍だ。貴官らに通達する。直ぐに撤退せよ。スーデン領から撤退せよ。』


「巫山戯やがって!」


部下の2人が銃剣突撃を敢行しようとしたが落とされた。そこで俺はキレた。

既に弾切れだった短機関銃を捨て、自動拳銃に持ち帰る。自動拳銃に貫通に貫徹させた術式を組ギリギリまで近づき放つ。

油断があったのか、天使を堕とし、それを副官が回収すると共和国軍は撤退していった。


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北方軍司令部

「勲功一位はヨハン・クロイス中尉だな。彼のお陰で技研が開発した対魔導師用の従属化術式で共和国の天使がつかえる。」


「あぁ、彼には昇進と受勲をさせよう。」


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「ヨハン・クロイス大尉、貴官には新編シュバルツ大隊を率いて貰う。」


アマーリエ中佐は左腕を失い、傷痍退役した。結局残ったシュバルツとヴァイスを統合し、共和国の天使、マリア・シャルトルを入れてギリギリ大隊分を集めた。正直に言う、巫山戯んなクソッタレ

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