第4話

リットン閣下に報告したら自ら立ち会うとのご返答。

リットン将軍閣下にケッセルリンク大佐殿が再開される昼頃にやってきた。


「お待ちしておりました。少佐殿、閣下がお越しです。」


少佐は端麗な顔を不機嫌に歪め、閣下を出迎える。


「百聞は一見にしかずだ。ご覧頂きたい。」


始まるのは茶番。ご覧頂こう。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「入れ。」


室内の調度品は椅子が3脚と大きな執務用の机が1つしかない。


「マックス・ロート中尉入室します!」


「ローザン・エクトリア少尉入室します!」


若い男女の士官が入って来て待っていた壮年の佐官に促され着席する。


「V600大隊編成局長ロトリガー大佐だ。これより集合地点の変更を通知する。ああ、忘れるな機密保持を優先するように。現在時刻

1430より1500迄に第一航空艦隊司令部に出頭する様に。」


「「はっ!」」


2人の東方軍の若い尉官は失礼しますと良い部屋から駆け出していく。数分後建物の入口を警護する憲兵司令ランケン准尉が室内に入ってくる。


「アマーリエ少佐殿、先程のバカは原隊回帰ですな。これにて本日分はこれで終了です。明日に後15組。」


「全くだ。准尉、リットン閣下に軍医を。頭痛がするそうだ。」


「当たり前だ。アマーリエ少佐叩き治せないのか?」


「失礼ながら、幾日掛けてよろしいので?開戦も近いと言うのに?」


「少尉、貴様は?」


「それでしたら北方式と言う事で理解頂きたい。」


「何だ、北方式とは?」


「カンナー中佐の考案された魔導師の強化演習です。まず、寒暖地域で延々と高高度順応訓練。総員が高度8000ftにて戦闘機動が出来るようにします。新開発の99式魔導演算宝珠は通常の術式を4個まで並列展開した上で、3個の常駐式を展開できるそうなので高度1万ftで酸素精製式、飛行術式、魔導装甲を展開させ戦闘機動です。夜間にその後砲兵隊に釣瓶撃ちさせ4日間で合計睡眠時間4時間のヘルウィーク、その後冬のアルペス山脈を2人1組で非魔導依存環境下で踏破させます。この間憲兵隊・空軍偵察機の並行訓練として死ぬ気で捜索させます。これに発覚すればそのペアは1からやり直しです。費用は掛かりますが魔導師、砲兵、憲兵に空軍の訓練を並行して行えると考えれば悪くは無いかと。」


「よい、好きにやれ。」


「はっ!クロイス少尉、貴様に任せるぞ。」


「お任せ下さい。アマーリエ少佐。」


1938年10月9日、本土南方管区管区司令部付直轄砲兵隊、V600大隊志願者、空軍第一航空艦隊司令部付第四偵察戦隊連合演習計画ヲ帝国参謀本部ハ承認。演習計画ハ、ヨハン・クロイス少尉ノ発案ニ因ッテ発案。内容ヲ以下ニ記ス

1,帝国軍V600大隊志願者選別試験トシテ高度10000ftニオケル高高度順応訓練

2,悪条件デノ対応試験トシテ砲兵隊ハ演習区域ニテ釣瓶撃チヲ敢行魔導師ハ是ヲ防御

3,アルぺス山脈ニオケル非魔導依存環境下デ踏破、是ヲ空軍偵察隊ハ捜索̪ヲ行ナウ

 発見サレタ場合爆撃スルト魔導師ニハ通達。

 最初ノ数回ハ実際ニ爆撃ヲ行ウモノトスル

4,北方管区連邦近海区域ニテ北洋艦隊ト協同シ対艦攻撃演習ヲ行ウ

5,此ノ時点デ規定要員数ニ選別スル開戦サレルデアロウ北方戦ニ投入シ実戦試験

此ノ演習計画ハV600大隊選抜試験・南方管区直轄砲兵隊・一航艦偵察隊・同爆撃隊海軍北洋艦隊ノ合同演習デアリ参謀本部並ビニ帝国政府陸海軍大臣ノ認可ヲウケタ物トスル

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