9/12 宇宙の日
後輩がペットボトルに閉じ込められた。ペットボトルを逆さにしても振っても水を流し入れても後輩は出てこない。一通り試して諦めたところで、空の果てから天啓が下りる。
曰く、ペットボトルを宇宙まで飛ばせ、とのことだ。
つまりはペットボトルロケットである。とはいえ、宇宙まで飛んだ前例はない。
紆余曲折の末に、ペットボトルロケットは完成した。しかし鋼鉄の装甲を纏い、回路の神経を宿し、エンジンを積んだその姿は、誰もペットボトルと思うまい。小型のコックピットが内蔵されて、後輩が内部から操作する二人三脚の裏技だ。
見事ペットボトルは空を舞った。世界記録だ。備え付けのカメラを確認すれば、青い地球が見下ろせる。
これで後輩は解放される。しかし、後輩は一向に現れない。ペットボトルの中にもいない。どこに消えたのか。思えば、いままで一度たりとも後輩の意思を確認していたかった。そもそも空を飛ぶことなんて、望んでいたのだろうか。
後ろを見ても、後輩は昔のようにそこにいない。空を見上げても、宇宙に飛んだロケットは肉眼では見えない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます