STAND BY ME(2)

 数日、何事もないように学園へと通っていた。


 ちょっと妄想していた。悪漢が彼女を襲い、颯爽と助ける僕。彼女を守るために疾走する自分を。


 学園内で、帰り道でエルフさんが何かされるのではないかとそわそわしながら見守っているわけだが。


「これって......ストーカーじゃないか?」


 自分に対する純粋な疑問。小さな喧嘩はいくつかあったが口論のみで済んでいて、暴力はなかった。


 彼女もその周りも3年生で受験生。誰も皆、人生を棒に振るようなことはしないのだろう。


 むしろ心配なのはという部分だ。


 因みに、ストーキング4日目である。そろそろ通報されても文句言えない。

 今も、割と住宅街を歩く彼女の10m後ろを電柱とかを盾にしながら着いて行ってる所存である。


 ササッ!サササッ!サササササッ!!


 なんか他人の目が酷く厳しいものに思えるが仕方がない。下心はプライスレス。


 しばらく歩いて、ふとした瞬間エルフさんが走り出した。


「うぉ?!はやっ?!」


 足早っ!エルフさんまさに風のようだ。あっという間に離されていく。2つ角を曲がる頃にはすでに姿は見えなくなっていた。


「ぜぇ...ぜぇ...まじか。これ多分何も心配いらなかったやつ」


 息が切れて膝に手をついて少し休憩。ちょっと吐きそう。運動不足極まれり、だ。


「なるほど、最近感じた妙な気配は貴方でしたか」


「えっ......?」


 声の主は背後から。声色は怒気を孕んでいる。ギギギッと後ろを振り向く。振り向きたくないけど。


「どういうつもりですか。ストーカーはこれまで何度かありますが、顔見知りは初めてです」


 美しいお顔が歪んでいらっしゃいます。美人なだけに怒ると怖い。


「ちょっ?!ちがっ......これは......」


 あうあうと手を伸ばして誤解を解こうとするが。いやこれ誤解じゃないな。


 問い詰められたことで急に冷えた頭。4日間の自分の行動を振り返り......


「通報は!通報だけは堪忍してぇええええええええええ?!」


 全力謝罪である。

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