ネゴシエーション

 「お願いしたい件があります」


「だから来たんでしょ。二度手間なのでさっさと本題に入りなさい。」


(こいつ…嫌いやわ…面倒くさい匂いがする…)


 先輩は、学校交流及び文化祭共催を持ちかけたが、あっさりと、銀髪生徒会長に断られた。この女子高は文化祭での各クラスがプロ並の演劇を開演する事が有名で俳優のOBも多い、5000人以上が来場する有名校なのだ。予約しないと一般客は入れないというレベルで。ここの文化祭はオリンピックのチケットが取れないぐらいの人気だった。どうしてそんな大手に出向いちゃったのかなぁ。


 俺は、学校の事務所の事務員さんに文化祭のビラを配って、はい!終了。現地でバラシまーす。だと思っていたのだが。


「交流ねぇ。こちらに全くメリットを感じないわ」


 頷く巨人。


「メリットならあります。御校は、演劇や文化系の部活に力をいれて、全国レベルの文化部が多数あると聞いています」


 そういえばこの学校の塀に垂れ幕が掛けてあった。全国高校演劇大会2位とか1位とか。


「それが何か?」


 そう言うと。ボスチェアをくるっと回すと銀髪少女は窓側を向いた。


(お前は企業の多額の報酬を貰っているのに私物化して、ベルサイユ宮殿で結婚式をする会長かっ!感じ悪い…)


「しかし、運動部…特に野球部の成績が、いまいちとか?」


「おいっ!無礼であろう!」


(どこの大河の人?)


「キョウちゃん!!」


「…」


「 こほん…それが、どうかしたの? 」


 椅子から立ち上がるとブラインドカーテンの間に指を突き入れグラウンドの様子を眺めている。運動部のランニングの掛け声が聴こえる


 我が校は、元男子校そして副会長もご承知の通り高校野球の有名校です」


「続けて…」


「野球の交流試合をするんです。男女混合の試合を盛り上がると思いませんか?都大会上位チームと試合が出来るのです。そちらの選手達も色々技術的な事など参考になるのではないでしょうか?こちらで、野球のオールスターゲームのベンチのような雰囲気を演出するのですレベルアップに繋がると思いませんか?」


「面白いそうだな…蓮見リョウタも来るのか?まさか二軍とか三軍ではないだろうな!」


「ちょっと!キョウちゃんは、黙ってて!」


「会長同士さしで話しているの!」


「勿論。蓮見リョウタも参加させます」


(そんなに有名なのリョウタ?お前痴話喧嘩してるだけじゃなかったんだね)


「失礼。この子は野球部で蓮見選手のファンなの…興奮してしまったみたい。夏の都大会の彼の活躍はニュースにもなっていたものね」


「で…彼氏さんは、何しにきたのかしら?」


(めっちゃ睨むのやめてもらえますか…もう今日目線合わせて話す自信ないです…)


「もう一つメリットがあります。彼と私を自由にお使い下さい。これから忙しい時期でしょうから雑務でも何でもいたします」


(聞いていないんですけど!この女子校に通うの?まさかね…もう今日だけでお腹いっぱいなんですが…)


「貴女も生徒会長なら分かるわよね。猫の手も借りたいくらいなのよ」


 ひそひそ(コウちゃん!ここは、頑張りますにゃん!だよね?)


 ひそひそ(殺されるわっ!)








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