ゾンビビビ


 「感染ウイルスによってゾンビが大量発生しております」


 お昼のニュース番組でまじめな顔したアナウンサーがカメラをジっと見ながら伝える。


ハァハァ…


 夕日が顔を出し始めた時間

 ソウタはニュースで伝えられていたゾンビたちに追われ、ひたすら逃げるが行き止まりに遭い、とっさにふりかえるとゾンビたちにその場で崩れ落ちる。「ダメか…」


バン! バン!

 

 「大丈夫ですか?」

 数発の銃声が聞こえたあと、数人の男たちがゾンビたちをなんとか倒すとソウタの手を引っ張りその場から逃げた。


 行き止まりだった場所から抜け出してしばらくアジトに向けて走っていたので、 少し広い広場で休憩している。

ほとんどの男が膝に手をついて息を整えている。


「なんで一人でいたんですか」


一緒に走ってきた奴の一人がソウタに聞いた。

「二人で逃げてたんです。彼女と二人で…」

「彼女は…」

「わかりません」


 ズッシリした空気になったその場を突然襲いに来たゾンビたちに一人の男が気がついたが、その時には周囲がゾンビたちに囲まれ始めていた。


「どうする!?」


「俺がおとりになるからお前たち逃げろ」


 鉄パイプを持った二枚目の男がソウタたちが逃げるスペースを作るとソウタたちはチラチラと後ろの二枚目を見ながら逃げた。


 アジトに着くと数人の男女が手を振って帰りを温かく迎える。その中にソウタにとって一番会いたかった女性がいた。


「ミカ!!」


「ソウタ!」


二人は抱き合った。


 空は暗くなり火を焚いてその周りを囲って全員で飯を食っているとドアが開いて二枚目がいた。

「お、お前」「いや待て! そいつゾンビに…」

一人がそう言った瞬間に二枚目と後ろに隠れていたゾンビたちが一斉に襲いにかかってきた。


 ソウタはミカの手をギュッと握って二人で逃げた。

 二人は小さな小屋に隠れて一夜を過ごした。


 小屋の中でフラフラと揺れるソウタにミカが心配そうに声をかけるが疲れただけだと答えた。


朝日が照らす時間になった。


 スマホのニュース記事でゾンビに対抗する薬が発表された。

その記事を見たミカは立って外を見るソウタに伝える。

しかし、ソウタは死んでいた。

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