第13話 冒険者大会

ジンはCブロックなので、もう始まるところだ。ローチェは、冒険者登録していないので、参加はしていない。Cブロックの人は既に戦う場所にいる。

しかし、ジンはさっき腕を斬られた少女の体調が気になった。


「それではCブロックスターーーート!!!!!」


号令とともにみんなが動き出す。剣を構え、盾を構え。やはり魔法系は不利だろう。


「さて、『生成』」


地面は、土でできているので、どこからでも生やせる。なので、とりあえず、りんごを食べることにした。

なぜ?って?腹が減っては戦はできぬ。って言うじゃないか。

一応腰に、剣の形をしたトレントの腕があるので、何かあったらそれで受け流せばいいと思う。

りんごが出来上がって、なんと30個もできた。

とっても赤く、みずみずしいりんごを取り、口に運んだ。

うまい。りんごの中は、蜜があり、みずみずしく、美味しい。


ジンは、うんうんと頷きながら、りんごを頬張り、朝飯をしていた。


周りからは試合で、いきなりりんごを食べ出す少年に見えるだろう。実際その通りだし。

当然、それを見た周りの試合中の冒険者たちは怒りを現す。


「おい!小僧!試合中なんだよ!さっさと死ねコラ!!」


「うわぁっ」


ジンの食事中に、近くにいた冒険者は剣で、ジンに斬りつけた。

しかしジンは、ノックバックが生じただけで、特に変わったこともない。

それに


「あれ、魔力全然減ってないな」


そう。全然減っていなかった。と言っても、減ってはいるが、合計魔力量が桁違いなため、誤差でしかない。


「りんごが!!」


その時、ジンが元いた場所に生えていたりんごの木を冒険者が「なんだこれ」と言う顔をして、斬ってしまった。

斬られたりんごの木は、一気に枯れていき、なにもなかったように、地面の肥料になった。


「なに、すぐに楽にしてやるよオラ!!」


「うわぁ!」


ノックバックで後ろに飛んで行った。どうやら、ジンを斬ってきた男たちは、共闘をしているらしい。

しかし、やはりダメージは入らないし、魔力も全然減らない。


「やっぱり減らないな」


やはり、魔力はほんの僅かしか減らない。あの男が。あの男がりんごの木を切ったのだ。

そう。ジンの親友に。


「ぐへへ、そろそろ魔力が切れるんだな?今すぐ楽にしてやるよ!ぐへへ」


なんとも悪役が言い出しそうな言葉を発しながら、ジンのそばにやってきた。

男が、剣を持ち上げた。今、ジンは膝を地面につき四つん這いになっている。

このまま斬られたら、ノックバック分の衝撃は下に行くので、重力がかかったようになるのだろうか。

そんなことを思い、呟いた。


「【生成】」


そう呟いた瞬間に、周囲の地面からツル科の芽が生え始め、一気に成長し、ツルとツルが絡まっていき、ジンを覆う。


「おらあああああああ!」


ざっくりと剣で覆われたツルを斬られたが、斬られたそばから、【成長】で伸ばしていく。

剣は、ツルに飲まれ、鍔しか残っていない。

そして男は力任せに引っ張るがビクともしなかった。


「おお!?どおなってんだ!クソ!!」


頑張って剣を引こうとしても、ツルがそれを許さない。

ジンは、ドーム状のツルの中から出ようとしたら、ツル自身が避けるように道を作った。


「りんごの仇!」


ジンはそう言い、あまり慣れない剣で男を斬った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る