第11話 冒険者招集

「ごめんって、俺は冒険を手伝ってってことで言っただけだって、でも君がそんな捉え方するなんて…ごめんって」


『……やだ』


この子が「脱ぐ?」なんて言ってから少し立った頃、特に悪いことをしていないのにジンが怒られる側になっていた。どうやら、この子はアレのことだと思ったとか。

この子は、ベットの上で、体育座りをしており、不貞腐れている。


俺、悪いことなんてしてないのにな。相手が勝手に勘違いしただけなのに。


そんな想いは口に出したかったが、それを出すと余計に不貞腐れるため出さなかった。


「明日デザート沢山食べていいから、機嫌直してよ」


『……約束』


「ああ、約束だ」


なんてチョロいのだろう。デザートで仲直りすることができるなんてチョロい。まぁ強力な冒険仲間ができたからいいか。


ジンは正座していた足を解いて、またベットの中に入った。


「寝よう?」


『……うん』


もう機嫌は治ったようだ。それにしてもベットは慣れないな。硬い床の方が寝やすいかもしれない。なんか柔らかくて、体が包まれているみたいに感じるから変な感じがする。

まぁ、寝れたらいいか。場所なんて関係ない。


ジンは牛小屋の寝やすさを考え、隣に入ってくる、少女と一緒に眠りに落ちた。













『……おはよ』


「お、おはよう……どいてくれるかな」


『……ん』


朝起きると、目の前には、少女がいた。先に起きたのだろうか。ジンの顔を覗くように見つめていた。


少女がどいたことにより、ジンはベットの端に座り、ボーっとする頭をゆっくりと起こしていく。

突然頭に浮かんだことを言ってみた。


「名前なんて言うの?」


なぜ今まで聞かなかったのだろう。話せる時点で、名前を聞いておいた方が、話しやすくなっていたかもしれない。失敗したな。


『……ない』


「ないって名前なのか、そうか」


『…違う…ついてない』


その声は、悲しそうで、寂しそうで。そんな声だった。


「そうか、ついてないのか、そうだな……ローチェはどうだ?」


『うん!ローチェ、ローチェ!』


喜んだようで良かった。これから少女はローチェになった。


さて、頭も起きてきたし、冒険者ギルドに入って、今日の分のお金を稼ごうか。















「今日の依頼は…」


『…これがいい』


「いや、無理だから」


少女が、指をさした依頼は、マンティコアの討伐。どう考えたって、無理な討伐依頼だった。



ウォォォォォォーーーーーーーーーン、ウォォォォォォーーーーーーーーーン

冒険者のみなさん。至急ギルドに集合してください!繰り返します!

至急ギルドに集合してください!



「なんだ?集合って」


周りの冒険者も驚いている。何かあったのだろうか。みんなそわそわし出し、おどおどし、ガッツポーズをしている人もいる。


「みなさん!冒険者大会の日が来ました!!」


「「「「おおおおおおおおおおおお!!!!!」」」」


なにそれ、冒険者大会?


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