第2話 旅立ち

「【生成】」


また、いつものようにりんごを作った。今日は24個もできている。10個は食べ、種の部分は、クソをしたところに捨てた。そしていつものようにウシに残りをあげた。


今日15歳になる。今日が旅立ちの日だ。今は裸。だから。


「【生成】」


草が生えてきた。服になりそうな草生えろ!と願うだけでこの通り。

結構頑丈。それに、綺麗に体を覆って、いい感じ。


これで、簡素な服だ。どう見ても、草だが、これは服だ。


「髪の毛も切らないと……【生成】」


今度は、よく切れる草生えろ!と願うだけで生えてきた草だ。葉がよく切れそうに尖っていて、切れ味良さそうだ。


その草でジンは髪の毛を切った。


「行くか」


準備は整った。今手にしているのは、鋭い棒だ。これは棒だが、侮ってはいけない。

昨日魔力を全て注いだ木の棒だ。棒なのだが、変形と貯蔵、吸収ができる木になれ、棒になれ!と思ってできただけなんだが。これが意外と有能だったりした。

まぁ、気絶したが。


棒切れを持ち、ウシ小屋から出た。


あ、この棒の名前は棒切れトレントにしよう。


「ああ、空気が美味しい」


ウシ小屋を出た最初の言葉だった。常に獣臭く、クソの匂い。そこで暮らしていたからか、とても外の空気は美味しく感じた。


「おい?なんだその格好は?なに勝手に家から出てんだよクソ虫!!!!!」


父だ。父は、剣技スキルを持っていた気がする。なので、真っ向から戦ったら勝ち目はない。だが、俺は剣士か? いや、違う。剣で無理に戦わなくていいんだ。


「死ねぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


声を出しながら腰についていた、一般的な剣を抜刀した。上段の構え。

ジンは剣を受け流す方法は少ししか知らない。


「【生成】」


剣技なんてクソくらい!そんな心の叫びから生まれた草は、ツルのような草だった。


「うお!? 離せ!!!!!」


上段に構えたところで止まっている。ツルが全身に行き、動きを止めている。


「今まで育て虐待てくれてありがとう!」


渾身の笑顔だ。やっと挨拶ができた。あとは母だけだ。


「解け!!クソガキ!!」


ジンはルンルン気分で、母の元へ向かった。






「あ、いた」


意外と敷地が広くて驚いた。よくあのおじさんは来れたな。


「お前!!誰だ!!」


母はまだわかってないみたいだ。ジンに戸惑っていた。


「お母さん、今まで教育虐待ありがとう!」


「お前!!ジンか!!クソ!!!!!死ねぇぇぇぇ!!!!!」


悔いはなくなった。強くなったらまた来よう。


「【生成】」


またツルの草が出てきた。これで母は動けないだろう。


「街に行くか……でもどっちだろう」


もうこの村には住民はいなかった。多分みんな親が殺したのだろう。

聞きようがないので、馬車が通ったであろう道を辿って、街に向かった。

着く街はどんなところからわからないが、ジンはそこで冒険者登録をする。

そして、そこで、強くなってやる!
















実際。もう既に、1歳の頃からの魔力枯渇、気絶、嘔吐の連続で、魔力は計り知れないことになっていた。

このことは誰も知らない。

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