第16話 花火の告白
「桜木遥人!」
「好き!!!!!!!!」
言って、急に恥ずかしくなった!
なんてこと言ってるんだろう!!
実は私たちのバンドは女子のみ、浴衣を着ているのだが、もし洋服だったら、急いでステージを降りているところだ…。浴衣じゃ、速く走れない…。
桜木遥人が近づいて来た。
私だけに聞こえるような声でささやいた。
「後でちゃんと返事するから。」
と言って、急に抱きしめてきた!!!!
パチパチパチ!
ヒュー!
「おめでとう!」
「おめでとうー!よかったね!」
ステージの下に居るお客さんたちは、
次々と手拍子や口笛を交え、祝福の言葉をくれた。
夜になり、昼間のバンド終わった後は、バラバラに別れた。私は、桜木遥人と二人で花火を観ることになった。
「いやー、楽しかったね~!それにしても、橘さんがあんなこと言うと思わなかった!」
私は緊張しすぎて、沈黙が怖くて、ひたすら喋った。いつもより早口だ。
「あんなことって?」
「うん。一言、「楽しかった。」って!」
「そっか!」
「実は私、最初に橘さんにバンドやる気ないでしょ、って言われてて。確かに今思うと当たってたんだよね。でも、今日の「楽しかった。」っていうのは、私のこと認めてくれたんだよね?!」
「そういうことだろうな。橘にとっての最高の褒め言葉だよ。」
「よかった!桜木くんのおかげだね!」
「俺は何もしてないよ。」
「ううん。バンド素人の私の歌を信じてくれたし。まさか作詞まですることになるなんて!」
「お前なら大丈夫って言っただろ?」
桜木遥人の真っ直ぐな目に、何も言えなくなった。
「大体お前な!あの作詞なんだよ?!」
「えっ?!」
「自分のこと歌ってるのかな、って思ったけど、自意識過剰だと思われるのも嫌で、練習のたびに気になってたんだからな!」
「そうなの?!」
「しかも急にステージ上で好きとか…」
桜木遥人は見たことないくらい、耳まで真っ赤だ。
ヤバい、めちゃくちゃ可愛い。
「男のセリフ飛んじゃねーよ!」
と同時に花火が始まった!
パーン!パパン!!
パパパパパン!!
赤、黄、緑…。様々な色の花火が上がる。
「え?!何て言ったの?!」
「だから…」
パーン!パパン!!
パパパパパン!!
桜木遥人が私を抱き寄せ、耳元で叫んだ!
「俺も好きなんだよ!!!!」
その瞬間、夜空に大輪の花火が咲いた。
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