砂川 結菜 第1話

私は可愛い。

そう自信をもって言える。

だって、人気ティーンズ雑誌の専属モデルをやってるんだから。

もちろん、ファンの子もたくさんいる。

それはこの学校にも。

だから、みんながチヤホヤしてくれる。


けど、好きになってほしい人には全然振り向いてもらえないんだ。



文化祭が終わったあと、君に、ちょっと時間いい?って言って、バンドの興奮冷めやらない体育館を抜け出した。


あおいくん、好きなの。付き合ってもらえない、かな?」


いつもの私の笑顔で。

これなら大丈夫。大丈夫。




そう思ってた。


『ごめん。俺、他に好きな人いるから。』


全然予想もしてなかった結果。

モデルであるというプライドが少しはあったから。


「そっ、、か。」


ここで涙を流すわけには行かない。

モデルだから。

いつもの撮影のときみたいにしなきゃ。



「わざわざ時間とっちゃってごめんね。ちゃんと言ってくれてよかった。」


『いや、こっちこそ、断って悪いな。俺も本気なんだ。』


「ううん、葵くんは謝ることないよ。」


少しだけ沈黙が流れた。


「ち!ちなみに、さ、、好きな人って、誰なの?」


聞きたくないけど、少しだけ気になってしまった。



『そうだよな、俺だけ言わないなんて卑怯だよな。』



葵くんをそこまで本気にさせた人を。









麻田あさださん。』


私は驚きが隠せなかった。



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