第42話 うそうそ

真正(?)のうそつきは自覚が無い

なぜなら

子供の頃からそうやって生きてきたから

もはや嘘はその人間の体の一部と化している

したがって

うそつきにうそつきと言っても意味が無い

だって自分の事だって思わないんだから

それに

周りの人は次々とうそつきのいう事を真に受けて

結果的にうそを信じる人たちになる

その

うそを信じている人達を見た別の人達がまた

「みんな信じている事なのだから本当なのだろう」と

うその世界を肯定する構図なのだ

だからうそつきがうその町を作っているのを見たら

放置でいいんだよ

放置で

いいんだよ放置で

うそつきの口から美辞麗句が飛び出しているのを見ても

驚くにはあたらない

だって

うそつきのうそがなぜうそのままバレないで変わらずそこにあるのかって

それは

あるひとにとって耳に心地いい言葉を吐いているからにほかならない

中毒性のある

脳が痺れてくる

あの

愛とか

好きとか

欲しいとか

そんなものを欲している

全ての人間たちにとっての

ごちそうを作るのが

うそつきの仕事なのだから

そしてその優しい嘘で酔っぱらったひとたちは

褒め

讃えるのだ

うそつきのことを

愛の人だと

ああ

なんという

すばらしいせかいなんだろう

うそつきはサービス業者

うそを信じる人達は

貪欲なお客さん

もっともっと

もっとおいしいうそを

欲しがっている


ほんとうの事を言ってやろうか

愛なんかな

言葉では表現できないんだよ

言葉を信じたら

だめだよ

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