ミシシッピーマッドパイの秘め事

ラブホテルと聞くと、ピンクのネオン看板のいかがわしい感じをイメージしていた。


高速道路を降りて少し走った先にあったラブホテルは一見すると、まるでビジネスホテルのようだった。


受付で部屋を選んで中に足を踏み入れると、

「特に変わりはないな」


そう呟いた社長に、

「バスルームはガラス張りですけどね」


私はガラス張りのバスルームに視線を向けると、そう言った。


大人2人が寝ても余裕はありそうな大きなベッドとソファー、ベッドの前には液晶の大きなテレビがあった。


スイートルームほどではないけれど、部屋も若干広かった。


「先にシャワーでも浴びる?」


社長はそう言って羽織っていたシャツを脱ぐと、

「それとも、一緒に入る?」


私との距離をつめたかと思ったら、そんなことを聞いてきた。


「さ、先に詩文さんから入ってきてくださいよ…。


わ、私は待ってますから」


絶対に変なことをするに決まってる!


「ただ一緒に浴びるだけじゃない」


「変なことをする前提で言ってますよね?」


「えっ?」


しまった…!


手で口を塞いでも、時すでに遅しである。


「ああ、そう言うことを考えてたんだ…」


社長は妖しく笑いながら言った。


「で、君が考えていた“変なこと”と言うのは?」


「えっ、いや…」


距離を空けようとしたら社長に抱きしめられて逃げられなくなってしまった。


「――心愛…」


社長が私の名前を呼んだかと思ったら、

「――ッ…」


唇を重ねられた。


「――んっ…」


服のうえから胸を揉まれたので、ビクッと躰が震えた。


いつものように強弱をつけて揉まれているけれど、直接じゃなくて服のうえから揉まれているので何だか変な感じだ。


「――あっ、待って…」


「待てない」


ワンピースのボタンを外されたかと思ったら、空いたその隙間から社長の手が入り込んできた。


「――あっ、ふうっ…」


ブラの隙間に彼の指が入ってきて、胸の先をくすぐられる。


「――心愛…」


耳元でささやかれただけなのに、躰はビクッと反応する。


「――あっ、ああっ…」


ピチャッと音を立てて、舌が耳をなぞってきた。


「――んっ、ふっ…」


唇に挟むように、耳を触ってくる。


「――あっ、んっ…!」


それまでくすぐっていた胸の先を強くつままれて、躰が震えた。


「――こっちはもっとその気になっているのかもね…」


社長のもう片方の手が太ももに触れたかと思ったら、そこから上へとのぼってきた。


「――やっ、待って…」


「待てないって、言ったでしょ?」


彼の手はタイツを脱がせると、

「――ああっ…!」


もうすでに洪水状態になっているそこに触れてきた。


「――んっ、んんっ…!」


指が中に入ってきて、それは抜き差しを繰り返した。


「――はっ、やっ…!」


「震えてるね、脚」


社長が耳元でささやいて、意地悪をしてくる。


彼の言う通り、私の脚はガクガクと震えていた。


このまま座り込んでしまいたい…。


そう思っていたら、

「このままお尻ついたら、お仕置きだからね?」


社長がささやいてきた。


「――やっ、意地悪…!」


「“変なこと”を考えてた心愛ちゃんが悪いんでしょ?」


「――あっ、ああっ…!」


確かめるように、彼の指が中をかき回した。


かき回されるたびに私の1番弱いところに彼の指が触れてくる。


「ああ、ここもかわいがってあげなきゃかわいそうだね」


「――ひゃあっ…!」


彼の濡れた指がすでに敏感な蕾を触った瞬間、躰がビクッと大きく震えた。


「――んっ、はあっ…!」


中をかき回しながら、敏感な蕾をこすられる。


「――やっ…もうっ、無理…ダメ…!」


フルフルと首を横に振って訴えたら、

「じゃあ、少しだけ我慢して…」


社長はそう言って中の指を激しくかき回して、敏感な蕾を激しくこすってきた。


「――あっ、ああっ…!」


激しくされたせいで私の目から涙がこぼれ落ちるけれど、それを拭う余裕はなかった。


もう無理だ…。


何も考えることができない…。


「――やっ、ああっ…!


もうっ…あっ、ああああっ…!」


頭の中が真っ白になって、意識が飛びそうになった。


ずるりと中から指が抜けた瞬間、膝から崩れ落ちてじゅうたんのうえに座り込んだ。


「――おっ、わっ…!?」


社長も崩れ落ちた私にあわせるように、その場に座り込んだ。


口から荒い呼吸を繰り返している私に、

「そんなにもよかったんだ?」


社長が聞いてきた。


「――だっ、だって…」


気持ちよかったから…。


「あーあ、浴びる前からこんなに濡らしちゃって…」


社長が妖しく笑いながら自分の手を私に見せてきた。


その手は指はもちろんのこと、手のひらまで濡れていた。


社長は妖しく笑いかけた後でペロリと舌を出して自分の指を舐めた。


「――なっ…!」


「甘いね」


彼は妖しく笑いながら濡れた指を舐めている。


「手を洗ってください、汚いですよ」


そう言った私に、

「汚くないよ、心愛のなんだから」


社長は言い返した。


「結局浴びる前からすることになっちゃったね。


まあ、やる前にシャワーを浴びた試しはないんだけど」


社長はそう言うと腰をあげた。


「そ、そうでしたね…」


部屋に入ったとたんに社長に抱きしめられてキスをされて…みたいな感じで、確かに1度もシャワーを浴びたことはない。


シャワーを浴びるのは、いつも後である。


「一緒に入ろうか?


もちろん、浴びるためにね」


そう言って手を差し出してきた社長の手を取ると、私もその場から腰をあげた。


お互いの服を脱がせると、ガラス張りのバスルームに一緒に入った。


シャワーのバルブをひねると、上から熱いシャワーが降ってきて何も身につけていない私たちの躰を濡らした。


「詩文さん、大丈夫ですか?」


熱いシャワーを肌に感じながら、私は社長に声をかけた。


下の方に視線を向けると、彼の灼熱があった。


「これが大丈夫なように見える?


さっきの君を見たせいで、こうなっているんだから」


社長は言い返すと、私から目をそらした。


「じゃあ、私がさっきのようなことをしましょうか?」


私は言った。


「えっ?」


社長の返事は無視をすると、彼の灼熱に自分の指を滑らせた。


「――あっ…」


そこに指を滑らせたとたん、彼は短く声をあげてビクッと躰を震わせた。


「――んっ…」


弱いと言っている灼熱の先をこすると、彼は息を吐いた。


私の指に感じている彼が嬉しくて、今度は上下になぞるように全体をこすった。


「――あっ、ヤバい…」


そっと灼熱を握り込むと、

「――はあっ…初めて会った頃よりも、積極的になったね」


荒く息を吐きながら、彼は言った。


「初めて僕のを見た時、君は悲鳴をあげて驚いてたじゃない。


それよりも積極的になったんじゃない?」


「そりゃ、出会ってからだいぶ時間は経っていますし…」


握り込んだままの状態で灼熱をこすったら、

「――んんっ…それは、あっ…!」


社長は苦しそうに息を吐きながら、ガラスにもたれかかった。


濡れたその髪が、彼の色っぽさを増している。


先ほどまで妖しい笑みを浮かべていたその顔は、今は苦しそうに息を吐いて感じている。


「――今のは、無理だ…ヤバ過ぎる…」


「こうですか?」


「――あっ、ああっ…!」


彼は声をあげて、躰を大きく震わせた。


「――あっ、もうダメだ…あっ、ああっ…!」


ビクンと彼の躰が大きく震えたのと同時に、私の手の中で灼熱が熱を放った。


「――ッ、はあっ…」


彼はガラスに身を預けながら、荒い呼吸を繰り返していた。


「…大丈夫ですか?」


そう聞いた私に、

「大丈夫じゃない…。


どこでそのテクニックを覚えてきたんだよ…」


社長は苦しそうに息を吐きながら答えた。


「…気持ちよかったですか?」


続けて聞いた私に、

「そりゃ、頭が真っ白になるくらいにね…」


社長はガラスに手を当てて自分の躰を支えると、私に向かって手を伸ばした。


スッと濡れた前髪を避けさせると、

「最初の時は、僕のを見て驚いてたのにね」


社長はそう言って、頬にキスを落とした。


「私が変わったのが嫌なんですか?」


そう聞いた私に、

「成長したなと思うよ」


社長は、今度は唇を重ねてきた。


「――ッ…」


チュッチュッと音を立てて唇を吸われて、何度も重ねてくる。


「――あっ、はっ…」


唇が離れたかと思ったら、今度は首筋にキスをされた。


「――やっ…」


胸の先を指で転がされながら、躰をゆっくりと反転させられた。


社長に背中を向けた体勢になって、ガラスに手をつけられる。


それまで降っていたシャワーの雨がやんだので視線を向けると、彼がバルブに手を伸ばしてシャワーを止めていた。


「もうだいぶ温まったからね」


社長は妖しく笑いかけた。


「――んっ…」


太ももの辺りに押しつけてきた灼熱に、私の躰がビクッと震えた。


「――あっ…」


グッと腰を引き寄せられたかと思ったら、彼に尻を突き出すような格好にされた。


太ももに当てられている灼熱は熱を持って、固さを増している。


「――さっき出したばかりじゃないですか…」


呟くように抗議をした私に、

「健康には自信があるって、言わなかった?」


彼は妖しく笑って、灼熱の先を中に入れてきた。


「――あっ…!」


まだ先を入れられたばかりなのに、躰はビクッと反応した。


何回か抜き差しをした後で、

「――あっ、ああっ…!」


灼熱がゆっくりと中に入ってきた。


ガラスに両手を当てて、崩れ落ちそうになる自分の躰を支える。


「――視覚的に興奮するね…」


「――あっ…!」


中に入っていた灼熱が動いた。


「――あっ、んんっ…!」


「――んっ、中が締まってる…」


密室は、シャワーの熱気でこもっている。


肌を伝っているのは雫なのか汗なのか、どちらなのかはよくわからない。


頭の中がぼんやりとし始める。


「――あっ、ひゃあっ…!」


社長の指が蕾に触れた瞬間、躰が大きく震えた。


「――んっ、そんなに締めつけられるとこっちも…」


社長は苦しそうに声をあげると、中の灼熱を動かしてきた。


「――あっ、ああっ…!」


同時に蕾をこすられたせいで、大きな声が出てしまう。


ただでさえ意識が飛びそうなのに、それ以上されたらどうにかなってしまいそうだ。


「――詩文さ…ああっ、やあっ…!」


「――ああ、僕ももう…」


灼熱の動きは激しさを増して、彼も限界に近いんだと言うことがわかった。


「――あっ、もう…あっ…!」


「――はあっ…!」


ビクンと躰が大きく震えて、頭の中が真っ白になった。


それまでどうにかして保っていた意識が遠くなって行った。


気がついて目を開けた時、私はベッドのうえで横になっていた。


「――あれ、私…?」


さっきまでバスルームにいたはずなのに、どうしてベッドのうえにいるのだろう?


そう思っていたら、

「気がついた?」


その声が聞こえて視線を向けると、ソファーにバスローブ姿の社長が腰を下ろしていた。


社長はソファーから腰をあげると、

「はい、水」


私にペットボトルを差し出してきた。


「ありがとうございます…」


社長の手からペットボトルを受け取ると、ふたを開けて口をつけた。


冷たい水が喉を滑り落ちて、渇いていた躰を潤した。


ペットボトルから口を離して息をつくと、残っているのはわずかだった。


躰はずいぶんと水分が不足していたみたいだ。


「――あの、私は…?」


呟くようにそう聞いた私に、

「のぼせたんだよ」


社長が答えた。


「の、のぼせたんですか?」


「密室だったうえに熱かったから…ある意味、のぼせても仕方がない。


いきなり君が倒れた時、ビックリして何が起こったのかよくわからなかったよ」


そのことを思い出したのか、社長はやれやれと息を吐いた。


「それで君をバスルームから運び出して、ベッドに寝かせたと言う訳だ。


君が気を失っていたのは30分くらいだったかな?」


「そ、そんなに…」


「まあ、激し過ぎた僕も僕で悪いんだけどね」


社長は私の隣に腰を下ろすと、

「まだ余裕はありそう?」


そう言って、シュルリとバスローブのひもを解いた。


「えっ、ええっ…?」


まだやるつもりですか?


「大丈夫、今度はゆっくりとやるから」


「いや…」


そう言う問題じゃないです。


早いとかゆっくりとか、そう言うことを言って欲しい訳じゃないんです。


「明らかに、それは誘っているよね?」


妖しく笑いながらそう言った社長に自分の格好を確認すると、

「ち、違います違います!」


私は首を横に振って否定すると、シーツで何も身につけていない自分の躰を隠した。


自分はバスローブを着ているのに、どうして私には何も身につけてくれなかったのよー!


「今さら隠す必要なんてある?」


社長はそう言ってシーツから出ている私の脚に指を滑らせた。


「あ、あの…」


「まだ夜は長いんだ、もう少しだけ楽しもうよ」


「いや、ちょっと…」


「ヤだ、待てない」


待てないって、子供じゃないんだから。


妖しく笑っている彼の顔が近づいてきて、

「――ッ…」


唇を重ねられた。


「――詩文さんって、絶倫だったんですね…」


呟くようにそう言った私に、

「そうなのかもね」


社長は妖しく笑って、私におおいかぶさってきた。

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