第12話 優しくするなら

「あ、そう言えば結局ロキシィさんはどうしてここに?」


 落ち着いてきたのでさっきマドラーに邪魔されて出来なかった質問を改めてすることにした。


「ん? ああ、あいつを落としたってのがどんな女なのか気になって来てみたんだよ。

 『魅了』をくらったわけでもないのにあいつがあそこまで陶酔してたら気にもなるだろ……」


 『魅了』……スキル的なあれか。

 でもどうしてロキシィさんはローランさんが魅力をくらってないって分かったんだろう。

 魅了ってボォンキュッボォォォン!!! なお姉さんが使ってるようなイメージあるけど……。


 そこまで考えて真下……正しくは私の胸の部分を見る。

 ……うん、断崖絶壁ではない……はず。

 確かに貧相ではあるけどきっと一般レベルより多少小さいくらいだよね? 

 …………これで魅了は無理だってことか……。


「そりゃね……このハイスペックな世界のお姉様方には勝てませんとも……」


 ちらっと見かけるメイドさんたちも中々な大きさだもんね……あははは…………。


 ぺっ。


「ん? 突然何の話だ?」

「いえ、ロキシィさんは何でローランさんが魅了にかかっていないと分かったのかなぁと……」

「あぁ、そのことか。多分この城のやつなら誰でも分かるぞ? 

 ローランあいつ、精神系の魔法とか一切効かねーから」

「……え」


 それ滅茶苦茶強くない……? 


「生まれたときからなんだと」


 最強じゃないっスかぁ……。


「イケメンなのにどこまでも完璧ってどういうことですか? 神はローランさんに何物なんぶつ与えれば気が済むんですか? 

 私なんて凡人な上ステータスも意味不明、挙げ句の果てには胸も貧相……。

 バランス何とかなりません? 本当に何なんですか?」

「お、落ち着けよ……! 

 俺はそのくらいの胸でも需要ある……、と思う……? ぜ!?」


 疑問系じゃねぇか!!!!! 


「優しくするなら最後まで優しくしてくださいよ!!!」

「……すまん……」

「謝らないで!! 余計切ない!!」


 そうして私が何とか落ち着いた頃、ロキシィさんは訓練の続きがあるとかで去って行った。


 ……紅茶飲みたい。

 いやローランさんに会いたいとか一緒にお茶したいとかそういうことではないけれど!?!?!?!?!?

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